ラスベガスのイーグルチャンス 砂漠地帯で飛距離を読め
TPCサマリン 16番パー5(560yd)
PGAツアーの新シーズン4戦目は「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」。カリフォルニア州のラスベガスでバーディ合戦が繰り広げられます。2018年大会こそ優勝スコア(プレーオフ)は通算9アンダーでしたが、タイトル奪取には例年20アンダー以上が求められるコースです。
パー5での取りこぼしは避けたいところ。とくに終盤16番は風がフォローだと第2打でミドルアイアンを持てるため、イーグルのチャンスがあるホール。松山英樹選手は2014年大会で2日目から3日連続でイーグルをぶちかまし、4ラウンドで7アンダーを1ホールだけで記録しました。
とはいえ、すべての選手にとってイージーかというと、そうではありません。フェアウェイも特別広いわけではなく、左サイドのバンカーを越えるためには307ydのキャリーが必要です。右サイドは林が待ち構え、左右どちらに曲げてもトラブルが待ち構えます。
きっちりフェアウェイに置けても、2オンを狙うショットは池越えに。グリーンは硬く仕上げられているので、止めるためにはスピンの効いた高いボールが必要になります。ワールドクラスのパワーと技術、勇気がなければ一筋縄ではいきません。
2打目をレイアップしようにも、残り100ydのところにあるバンカーの先まで打ってしまうと、すべてラフになります。フライヤーもグリーンの硬さも計算した繊細な3打目になるでしょう。グリーンは中央部分が一番近く、左右にふられると、フェアウェイからは遠くなる形状。正確な距離感が求められます。
特にピンが右側に立つ日は、グリーン左奥からアプローチでOKに寄せるのが難しい。2オンできれば一気にイーグルチャンスですが、そこまでの関門を乗り越えられるかがポイントになります。
砂漠地帯のラスベガスは空気が乾燥しており、ボールが普段よりもよく飛びます。以前は「プラス5%」と頭に入れてプレーしました。200ydのショットが210yd飛ぶわけですから、計算ミスをしては命取り。ただしこれも全選手が同じわけではありません。ブルックス・ケプカのキャディが「俺たちは“8%”で計算しても、グリーンをオーバーしてしまう…」と頭を抱えていたのを覚えています。(解説・進藤大典)