【WORLD】メッセージを発信するということ
Golf World 2012年3月26日号 voices texted by Bill Fields
ツアープロを広告塔として起用することはもちろん珍しいことではない。だが最近はその規模が拡大し、より強力で、細かいものになっている。いくつかのゴルフ用品メーカーは、製品を市場に出す際、以前よりもアピールの度合いを増すようになった。より目を惹くテレビコマーシャルを制作し、自社ブランドと契約するツアープロを積極的に起用する姿が頻繁にみられるのも、その為だろう。
「最近は、メディアを見る目や、人々が関心を持つことについて、型にはまらないことが流行になっており、それを活かすことこそが最も効果的だと思っています」と語ったテーラーメイドのチーフマーケティングオフィサー、ボブ・マギオレ。その言葉通り、同社はサンディエゴ・パドレスのホーム球場ペトコ・パークのレフトとライトのポールとして、巨大なR11ドライバーのオブジェを設置した。
キャロウェイゴルフでは昨年12月、クリエイティブディレクターとして契約したばかりのジャスティン・ティンバーレイクが、フィル・ミケルソンを含む13人のスポンサー契約を結ぶプロを起用した映像を4日間かけて撮影した。ミケルソンらがホテルの屋上やラスベガスのカジノでショットを打つ映像は、Epic Demoキャンペーン用の3本のテレビスポットとして、なんと75時間も撮影された。
テーラーメイドでは、RocketBallzフェアウェイウッドの最新プロモーションとして、3月の「WGCキャデラック選手権」最終日に、契約プロに”17”というロゴ入りのシャツを着用するよう要求。この最新クラブの最大のアピールポイントである、3番ウッドが前モデルよりも17ヤードも飛距離が伸びることを大々的に広めるのが狙いだった。
しかし、このプロモーションには“待った”がかけられてしまう。PGAツアー側は、最終的に優勝したジャスティン・ローズを含む同ブランドと契約を結ぶプロに対し、シャツの着用禁止を言い渡したのだ。PGAコミュニケーション並びに海外部門副代表のタイ・ボートウは、「今回の行為は同社とツアーの関係を悪くしてしまう」と主張している。
マギオレはこの主張に対し、3月11日に文書で「我々の見解としては、単に双方のコミュニケーション不足が招いた結果だったと思っています」と発表した。3月9日号のGolfWorldに掲載されたインタビューでも、マギオレは「ツアーオフィシャルと会って話をした時、既に17というロゴを付けたポロシャツを契約プロに着用させる予定と伝えていたんです。彼らも我々のプロモーション活動を気に入ってくれていると言ってくれていたんですが」と、話し合いがあったとしている。
更には11日、ツイッター上でもツアー側はテーラーメイドに対し、キャデラック選手権優勝者がどういう衣類を着用するかのヒントを訪ね、ブランド側は「17と入ったシャツを着用する予定」と返答していた。
しかしながら、ツアー側はダスティン・ジョンソンとセルヒオ・ガルシアがテレビ中継の際にフロントに17のロゴ、そしてバックには更に大きく17とプリントされたシャツを着用しているのを確認した途端、それから後にスタートする予定だった同社と契約しているジェイソン・デイ、ローズらに対し、商業的メッセージ、そしてロゴに関するレギュレーションに違反するとして、着用を禁止すると伝えたという。
ツアー側は同社に”17”のシャツを(キャデラック選手権会場の)ドラールで100枚販売する許可を与えていたが(ツイッターでも許可を認める書き込みをしていた)、結局、番号をつけるのはシャツの袖とキャップに制限されてしまった。同社は「ノーザントラストオープン」でも”Driver Love”というキャンペーンを大々的に敢行。ハートのロゴが入ったキャップを制作した。大きく番号の入ったシャツを着たツアープロの写真を配布し、同プロモーションは週末のテレビ中継でも特集されるほどだった。
今回の事態についてマギオレは、「熱心なゴルフファンは今回の流れを見て、『いったいどうなっているんだ?』と思っていることでしょう。我々は単に契約しているツアープロの協力を得て、大会を盛り上げようとしているだけです。もし大会最終日にファンの皆さんが、『なんで17番とプリントされたシャツを着ていたんだろう?』と思って頂ければ何よりです」とコメントした。
米国ゴルフダイジェスト社提携
Used by permission from the Golf DigestR and Golf WorldR. Copyrightc 2011 Golf Digest Publications. All rights reserved