【WORLD】ウェブ・シンプソンの素顔(2) “WORLD WIDE WEBB”
Golf World(2011年11月7日号)texted by Tim Rosaforte
「最終戦の後、2人で今シーズンを振り返りました」と語ったのは、キャディのポール・テゾリ。
「ウェブは『何が凄いって、ゲーリーは最終日に23パットだったけれど、それが自己ベストではないってこと。それにバッバにも改定されたルールのおかげで負けたし、クレーンにも負けたけれど、彼はラスト11ホール中8ホールでバーディを記録した。ドナルドだって最終戦の最初の15ホール中10ホールでバーディを決めて、ここ9年で2勝目(米ツアー)を挙げた。この期間だけで6勝出来ていたかもしれないけれど、そうは思わない。不思議な偶然が重なったことで負けたとも言えるかもしれない。ただ、俺は自分のベストを尽くした。他のことは自分ではコントロール出来ないからね』と言っていましたよ」。
シンプソンは自分自身を安定させることは出来ていた。2010年のシーズン終了後、それまでキャディを務めていたウィリアム・ケインがユース選手に付くことになり、シンプソンはテゾリと契約。更にフィットネストレーナーのジェフ・バナズサクとも契約し、肉体改造にも着手。その年の11月30日、初めてのトレーニングセッションの前に今後の目標を聞かれたシンプソンは、「歴史に名を残すような選手、そして世界ランキング1位になる為にハードワークを実行すること」とバナズサクに話したという。
新たにキャディとなったテゾリも、ソニー・オープン前にシャーロットに向かい、正直に当時の実力に関する意見をシンプソン本人に伝えた。ビジェイ・シン、そしてショーン・オヘアのキャディも務めたテゾリは、「正直に言って、君は精神的に強くならないといけない。今の技術では全然ダメだ」とシンプソンに助言。テゾリからすれば、当時の状態で2年間も出場権をキープしていたのは奇跡。ランキング50位にも届かなかった選手が、一気にトップに近い位置にまで成長したことも、合わせて”ミラクル”と形容していた。
テゾリは、シンプソンがサンディエゴのトーリーパインズGCで開催されたファーマーズ・インシュランス・オープンで予選落ちとなった後、同コースで9時間にも及ぶ練習を行った。「ウェブは練習熱心な性格なんです」とテゾリ。「たしか午後4時くらいだったかな、彼の方から『俺には何が足りない?』と聞いてきたんです」と続けた。
キャディという以前に、テゾリは元ツアー選手で、シンとショーン・フォーリーに師事してきた経験があったため、トッププロから学んだ手法をシンプソンに薦め、これをシンプソンも受け入れた。テゾリはまず、シンプソンにフェースをターゲットにスクエアにしたままテークバックさせ、インサイドに引くことをやめさせることに着手。スウェイするクセも取り除いた。
すると次のウェスト・マネージメント・フェニックス・オープンでは、スイング改造の甲斐があったのか8位タイでフィニッシュ。その後ツアー2勝を含め、トップ10以内に11度も入る一方で25位以下は2度しかなく、確実に力を付けた。また、ドライビングディスタンスでも10ヤード以上伸び、フェウェイキープ率でも121位から8位へと急上昇。全てのカテゴリーで成績を一気に上げた。
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