4年で地球18周分 旅人ゴルファー・川村昌弘の足跡【欧州編】
連載が100回突破!
欧州男子ツアーでプレーするゴルファー川村昌弘選手。2017年1月に開始したコラム「いま僕はココにいます」が、20年11月に連載100回を超えました。この4年間でプライベートも含めて訪れた国と地域の数は70、移動距離はおよそ72万kmで、これは地球18周分にあたります。足跡を地域ごとに振り返る特別企画の後編は欧州編。14歳のときに抱いた「世界中でゴルフをしたい」という夢を現実にし、ハイレベルなツアーをいま巡っています。
旅人はスイスの記憶から始まった
夢の原点はフランスで見た景色にありました。中学2年生で、ジャスティン・トーマスやジョーダン・スピースといった現在の一流選手たちと出場したジュニアの国際大会。スイスとの国境をまたぐアルプスの壮大さに心を打たれて、旅人ゴルファーの今があるといっても過言ではありません。年に1度訪れる麓の街ではいつも感慨深くなります。
旅人は聖地スコットランドでキャディバッグを買う
5歳でゴルフを始めてから、目標にしてきたのは「全英オープン」での優勝。2018年に初めて出場しましたが、せっかくの旅の機会をそれだけで終わらせません。会場のカーヌスティに到着するまでに、聖地セントアンドリュースをはじめ名門リンクスで練習三昧。全英の第1回大会が行われたプレストウィックでは記念にキャディバッグを買っちゃいました。
旅人はスペインで欧州ツアーへの扉を開く
この連載が始まった2017年は、日本ツアーのフルシードを落とすなど実は深刻なスランプに陥った年でした。しかし翌18年に復活のきっかけをつかむと、旅人は決断します。長らく主戦場としてきた日本とアジアンツアーを顧みず、欧州ツアーの出場権をつかむべくスペインでの予選会に挑戦。見事に通過し、19年シーズンからツアーメンバーとしてプレーしています。
旅人はチリの戦友とオーストラリアで祝杯
欧州ツアーを主戦場にするにあたり、友だちの輪はまた大きくなりました。スペインでの予選会、最終ラウンドをともにしたチリ人の選手のプレーぶりに旅人ゴルファーは大きな感銘を受けます。全員が将来の職場をかけた重圧に押しつぶされそうな中でも「ゴルフの精神」を忘れない人柄に感動。オーストラリアのパブで再会し、それぞれの船出を喜び合いました。
旅人はジブラルタル海峡で藍ちゃんに会えてうれしい
欧州でのルーキーイヤーを戦うにあたり、隣にはいつも頼もしい日本の先輩もいました。谷原秀人選手、宮里優作選手は、まさによき兄貴分。そして、優作選手の応援に駆け付けていた妹・藍さんとの対面は、しみじみと感じ入るものもありました。将来の夢を描いたフランスでの試合は、かつて藍さんが優勝したこともある「エビアン」のジュニア大会だったのです。
旅人はウェールズで父とゴルフする
昌弘少年がクラブを握ったきっかけは、父・昌之さんが会社づきあいでゴルフを始めたことでした。一緒に練習していたら、あっという間に子どものほうがウマくなってる…なんていうのはプロゴルファーの家庭によくある話。けれど、息子が大きくなって英国のゴルフ場をふたりで巡る旅のストーリーは、そうそう聞くモノではありません。
旅人はチェコで恩師と酒を酌み交わす
プロゴルファーを志した少年時代を振り返り、深く感謝すべきは両親だけではないのです。18歳でのプロ入りに向け、背中を強く押してくれたのは福井工大福井高時代のゴルフ部の監督でした。再会したのは、試合で訪れていた先のチェコの首都プラハ。おとぎ話に出てきそうな街並みを眺めながら、ビールで乾杯しました。
旅人はUAEで髪を切る
年間30以上の国を巡る欧州ツアーでは、大会によって散髪をしてくれる理容師が会場に待機しています。異国のヘアサロンにはちょっと抵抗がある遠征中の選手たちにとっては大助かり。旅人は今年1月、アラブ首長国連邦でサッパリしました。ところがコロナ禍ではそうはいかず、このサービスは目下、中断中。5カ月の長旅を経て、直毛が伸び放題で帰国してきました。