2013年 ザ・ホンダクラシック

<佐渡充高の選手名鑑 66>ロバート・カストロ

2013/02/27 10:00
ツアー2年目のR.カストロは、まだ浮き沈みが激しく安定感に欠けるが、一度噛み合うと爆発的スコアをマークする可能性を秘めている!?※写真は「ソニーオープンinハワイ」初日(Christian Petersen/Getty Images)

■ 著しい南米選手の台頭

米国は南米からの移民ヒスパニックやラティーノが急増し黒人を抜いて最大のマイノリティになった。米ツアーでもラテン系の選手の活躍が活発化し、「全米オープン」や「マスターズ」を制したアンヘル・カブレラ、ルーキーで初優勝を挙げたアンドレ・ロメロらアルゼンチンの選手の活躍を機に南米選手の台頭が著しくなった。それに対抗するかのようにコロンビアのカミロ・ビジェガスが「ザ・ツアー選手権」など3勝を挙げたと思ったら、次はベネゼエラのジョナサン・ベガスが新人で迎えた2011年に出場2試合目で初優勝を挙げた。2016年リオデジャネイロ五輪決定で、開催国ブラジルのアレクサンドル・ロカも米ツアーに参戦するなど、とにかく最近はラテン系の選手が熱い。

■ ラテンの新星ロバート・カストロ

今年もラテン系で注目したい選手がいる。ロバート・カストロ(27)というツアー2年目の選手だ。父はペルー人、母はスウェーデン系コスタリカ人で、2人は結婚後に渡米し移住を決めた。ロバート・カストロはテキサス州で誕生したラテン2世ということになる。ゴルフを始めたきっかけは、母方の姉妹である元LPGA選手ジェニー・リドバック(2003年引退)の影響だ。リドバックは95年に女子メジャーの「デュモリエ・クラシック」で優勝しているレジェンドだ。その時10歳のロバートは調度よく夏休みで、母方の祖父母に連れられ叔母が活躍するカナダの会場へ観戦に行くことができた。叔母の優勝の姿を目の当たりにして感激し、プロになることを決めた。その時にもらったサイン入りのボールとスコアカードは彼の宝物になった。ゴルフを始めたロバートは叔母からレッスンだけではなく、成功することの厳しさなど様々なことを学び成長。ジュニア時代の活躍が認められ大学はボビー・ジョーンズの母校でゴルフの名門、ジョージア工科大学に奨学金で進むことができた。2011年メジャー最終戦「全米プロ選手権」で初出場、初優勝を遂げたキーガン・ブラッドリーが、伯母であるLPGAの名選手パット・ブラッドリーのサポートを受けていたこととよく似ている。

■ カストロは頭脳明晰のイケメン!?

ゴルフ奨学金で大学に入学した学生はチャンスがあれば卒業を待たずにプロに転向してしまうケースも少なくない。入学の目的が将来はプロになることだからだ。最近ではオクラホマ州立大学を中退したリッキー・ファウラー、遡ればタイガー・ウッズもスタンフォード大学を2年で中退しプロ転向してしまった。しかし、ロバート・カストロは叔母の教えを守り、ゴルフ一辺倒ではなくゴルフ以外の道へ進むことも考慮して大学に進学、在学中は勉学にも励み、産業工学の学士もとった。学業にもスポーツにも優れたアカデミック・オールアメリカンでもあった。さらに学生の中で学業、人柄、リーダーシップなど総合的に高い評価を受けた全米学生トップアワードという最高の賞も受賞した。家庭環境の影響もありスペイン語と英語のバイリンガルでもある。甘いマスクでファッションセンスも光り、美食、旅行、カルチャーにも興味を示す洗練された若者だ。

■ 派手なプレーで魅せる

昨年はプレーオフシリーズ初戦「ザ・バークレイズ」初日、14番パー3でホールインワンを記録するなど派手なシーンが心に残る。今年は「ヒュマナチャレンジ クリントンファウンデーション」で一時首位タイに顔をだす活躍。まだ浮き沈みが激しく安定感に欠けるが、一度噛み合うと爆発的スコアをマークする面白さがある。今大会がフロリダ州シリーズの初戦となり同州で4連戦が行われる。フロリダはラテン系の人々が多く住む地域で応援も半端じゃない。このシリーズで彼らを沸かすラテンの星になれるか楽しみだ。

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