2012年 ザ・プレーヤーズ選手権

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第三十六回】

2012/05/09 10:00

■ 「ザ・プレーヤーズ選手権」

1974年からスタートし、今年で38回目を迎える。第1回大会から87年までの14回はTPC(トーナメント・プレーヤーズ・チャンピオンシップ)、1988年から「ザ・プレーヤーズ選手権」と大会名称を変更している。優勝賞金171万ドルに加え、1998年からは優勝者に5年シードが付与されるが、5年シードは4大メジャーと今大会のみ。コースも第1回大会はアトランタCC、以降コロニアルCC、インベラリー、1977年から5回ソーグラスCC、1982年から現在までTPCソーグラスと変遷を経ている。TPCソーグラスの設計家はピート・ダイ。コースレコードは「63」、92年大会3Rでフレッド・カプルス、94年の1Rでグレッグ・ノーマンが記録している。

数々のドラマが生まれたTPCソーグラスの名物ホール「17番」。(David Cannon/Getty Images)

■ 最も有名なショートホール「17番」

昨年、チェ・キョンジュ(韓国)がデビッド・トムズをプレーオフで下し優勝を飾ったが、このプレーオフ1ホール目の舞台となったのが、アイランドグリーンで知られる17番(パー3)ホールだ。実はここTPCソーグラスの17番ホールは、ファミリーレストランで、何気なくふと思いついたアイデアが設計のはじまりとなっている。そのアイデアを忘れないように、そばにあった紙(いわゆるレストランにある紙ナプキン)と鉛筆で設計図が描かれ、これが最初の設計図として今もTPCに保管されている。

またこの17番には数々の記録と、選手たちを苦しめる要素がぎっしりとつまっている。年間にして何万個というボールが池に入るので、毎年、水嵩が上がり、(ボールを)取りのぞかないと池の水が溢れてしまうという笑い話まであるほどだ。過去トーナメントで1日に池に入ったボールの数は1984年に98個という記録まで存在する(1Rで64個)。とにかくここ17番ホールは難易度が高い。たかが、最大で150ヤードくらいしかないパー3。それだけ短いホールな上、風がアゲンストの時は大きな番手を選択するかもしれないが、選手が持つクラブはせいぜい長くても8番アイアン。それでもあのグリーンに乗せることは難しいのだ。ティグラウンドに立つと、実際には僅かにグリーン奥が高くなっているのだが、その見た目以上に錯覚し、「オーバーしてはいけない」とか「少し軽めに振っていこう」とか様々な邪念が入ることによって、スムーズなスイングができなくなってしまうのだ。結果、方向性を誤るなど・・・まさに選手たちを混乱させ、心理をかき乱すようなセッティングになっている。毎年、勝負はこの17番で決まると言われており、プレーオフの舞台ともなる。グリーンは最高レベルに硬くして刈り込まれ、ボールは落ちてからも弾む。極限まで選手を苛(いじ)めるセッティングだ。ならばどうやってグリーンオンさせるか。“風の影響を受けない低い球で”、“強力なスピンをかける”、“傾斜の強いところに落とし弾みを消す”など、より頭脳的な攻略法が求められる。

2012年 ザ・プレーヤーズ選手権