2022年 ZOZOチャンピオンシップ

「ZOZO」連覇に挑む松山英樹のクラブセッティング

2022/10/14 13:42
タイトル防衛に挑む松山英樹

昨年の「ZOZOチャンピオンシップ」制覇を含め、PGAツアー8勝の松山英樹。母国において5打差で勝利したタイトルの防衛に挑む今大会は、PGAツアーで最も成功した日本人選手である彼のバッグの中身を精査する上で、絶好のタイミングといえる。

日本人男子選手としてレギュラーツアーで初めてメジャー王者となった彼は、今年4月に「マスターズ」のタイトル防衛に臨んだ。その際、我々(GolfWRX.com)は松山が用具をテストし、微調整する傾向についての詳細をレポートした。彼は頻繁に14本のクラブセットアップを変更するわけではないが、コンスタントにヘッドとシャフトの異なる組み合わせをテストし、望み通りのクラブに仕上がっていることを確認している。

そして、9月の「フォーティネット選手権」で、ドライバーを一般には未リリースとなっている新しいスリクソンZX5 MKIIプロトタイプにアップグレードした。このクラブ変更はうまく行っているようだ。それは松山が「プレジデンツカップ」でもこの新しいドライバーを使い続け、「ZOZO」の第1ラウンドで引き続き使用したことからもうかがえる。

以下は、今週の「ZOZO」における松山のセットアップである。

松山英樹のスリクソン ZX5 MKII LS ドライバーをクローズアップ(提供:GolfWRX)

ドライバー:スリクソンZX5 MKII LSプロトタイプ(10.5度)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD-DI 8TX

スリクソンが技術的な情報をリリースしていないため、我々は今のところ、松山の新しいZX5 MKII LSドライバーについての詳細を把握してはいないが、LSが“low spin(低スピン)”の意であることは推測できる。松山はこのヘッドのヒール側後方に小さい鉛テープを貼り、重量を加えている。また、新しいモデルのドライバーへアップグレードしたものの、引き続き慣れ親しんだオレンジのグラファイトデザイン ツアーAD-DI 8TXシャフトを使用している。

松山が日本で使用している3番ウッド(左)と5番ウッド(提供:GolfWRX)

3番ウッド:テーラーメイド SIM2チタニウム(15度)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD-DI 9TX

5番ウッド:コブラ キング ラッドスピード
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD-DI 10TX

松山が使用しているスリクソンZフォージドアイアンの1本(提供:GolfWRX)

アイアン:スリクソン Zフォージド(4~9番)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー

松山は昨季のPGAツアーで、125~150ydのショットのプロクシミティ(ピンへの近さの平均)で1位にランクし、150~175ydでは5位にランクインした。彼はソールのトウとヒール部分に段差のあるスリクソンZフォージドを使用している。

「ヒデキはトウとヒールの段差を開発したリーダーのひとりでした」と、スリクソン担当者はGolfWRXに語った。「彼はトウとヒールの段差が、一貫してスムースなターフの抜けを実現すると確信しています。常に彼のアイアンにこの段差を入れており、ZXシリーズにこの段差を戻す上でも、大きな役割を果たしました」

また、松山はアドレス時のアイアンの見た目について、特に優れた眼識を持っている。

「ヒデキはアイアンに、ゼロオフセットではなく、少しばかりオフセットを入れるのを好みます」とスリクソンは教えてくれた。「彼は特に優れた眼力を持っており、全ての製品をテストし、調整することを好みます。アイアンに関して言うと、ヒデキにとって鍵となるエリアは、全体的なホーゼルの形状とテーパーの一貫性、フェース面とホーゼルのブレンド具合。そしてこれが最も重要なのですが、ホーゼルからリーディングエッジへかけての流れになります。彼はこの流れが、スムーズでほぼ直線になっているのを好むので、そのようにオフセットしなければなりません」

松山使用の60度ウェッジのバウンスの様子(提供:GolfWRX)

ウェッジ:クリーブランドRTXフォージド プロトタイプ(46、52、56、60度)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー

松山はロフトの多いウェッジのソールのグラインドに関しても、強いこだわりを持っている。

「ヒデキは52度のソールを変えることはあまりありませんが、56度と60度に関してはコンスタントに微調整しています」とスリクソンは明かした。

「この3本は全て鋭いCグラインド形状です。56度と60度は、アグレッシブにヒールが削られています。ヒデキは同様に、使用するアイアンの一つにも、同じような鋭いリーディングエッジのグラインドを利用しています。コンディションや打とうとするショットに応じて、この3本の(ソールの)幅やバウンス角を変更します。この3つの段階と、ソール半径(ヒールからトウにかけてのソール湾曲)により、我々はアドレス時の形状を変えることなく、彼の求めるであろうターフの抜けや多用途性のあるソール設計をコントロールできるのです」

「56度と60度に関して、彼はとても真っすぐなリーディングエッジで、ほぼオフセットのないものを使用しています。60度と56度をウィーク気味に使うことで、オフセットをなくし、ホーゼルからリーディングエッジへの真っすぐでスムーズな流れを維持しているのです」

松山使用パターの裏側をクローズアップ(提供:GolfWRX)

パター:スコッティキャメロン ニューポート2 GSS
ボール:スリクソンZスターXV

(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)

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