2014年 ライダーカップ

3連敗…弱い米国にのしかかる疑問、批判、課題

2014/09/29 11:11

By Mike McAllister, PGATOUR.COM

欧州に敗北を喫した米国の主将トム・ワトソン。厳しい質問に表情は硬さを増した (Harry Engels/Getty Images)

定番ともいえるやり方で、しっかりと結果を残した欧州選抜。一方、米国は2008年、自分たちのやり方を築き上げ、優勝につなげた。当時の小集団システムは、選手間の強い絆や、あらゆるシナリオに対応するため念入りに作られたゲームプランを生み出した。主将だったポール・エイジンガーは、それについて「Cracking the Code(直訳:暗号を解読する)」という本を書いたほどだ。

しかし、その“やり方”は直近3度の「ライダーカップ」では異なったものになり、成果を上げていない。グレンイーグルスでの最終日、5ポイント差で負けた米国選抜のフィル・ミケルソンは、6年前のエイジンガーの勝利法をなぜ踏襲しなかったのか不思議に思っていた。

「我々はできるだけのことをするし、全力を尽くす」と、自身にとって10度目のライダーカップとなったミケルソンは言う。「今はただ、過去の成功事例を見直しているんだ。『プレジデンツカップ』でも同じことをして、みんないい結果を出したからだよ」。

「残念ながら僕らは、ここ3度の『ライダーカップ』では2008年に優勝したときのやり方からかけ離れていた。自分たちの力を思い切り出せた、当時のやり方に戻ることも視野に入れなくてはいけない」

ミケルソンは、今回主将を務めたトム・ワトソンを批判しているわけではないと述べた。ワトソンは2年前のデービス・ラブIIIや2010年のコーリー・ペイビン同様、欧州選抜の連勝を阻めなかった。

「僕はただ、みんなの力を最大限に引き出すためにポール・エイジンガーがしてくれたことを話しているだけ」と、ミケルソン。「…自分たちにとってベストなゴルフをするには何をすべきか、と聞かれたから、自分たちが最高のプレーをしたときを思い出し、そのときのやり方を繰り返せばいい、と答えたんだ」。

ミケルソンから6席離れて座っていたのは、メジャー8勝のワトソン。エイジンガーのやり方を考慮しなかった理由を尋ねられると、こう答えた。

「このチームのキャプテンになるとき、僕は(エイジンガーと)異なる視点を持っていた。勝つには12人の選手が必要なんだ。小さな集団ではない。12人の選手なんだよ」

エイジンガーの本を読んだのか、そのやり方について考えたこともないのか、といった質問まで飛び出した。

ワトソンは「(エイジンガーのことを)軽視したわけではない」と答え「僕は最初から違う視点を持っていただけ。副将や僕の観点から、選手の評価を最優先しようと思った。そして誰と誰にプレーさせるかを見極めたんだ。僕の2つの仕事は、主将推薦メンバーを選び、チームを作り上げることだった。これが僕にとって最も重要な任務だよ」と強調した。

敗北を喫したチームへの記者会見の多くがそうであるように、この場にも気まずさが漂っていた。そんな雰囲気は残念ながら、米国選抜にとってあまりにも慣れっこになっている。米国は近年のライダーカップ10回のうち、8回負けているのだ。彼らは母国に戻り“再び暗号を解読する”ためには何が必要なのかを考えるだろう。

ミケルソンが示唆したように、エイジンガーのやり方に回帰すべきなのか? それとも、今回の大会で特に負けが込んだフォアサム(2人が同じボールを交互に打つ)で、より良いプレーをすればいいだけの話なのだろうか?

フォアボール(2人がそれぞれのボールでプレーし、ホールごとに良い方のスコア採用)とシングルマッチを合わせれば、欧州選抜より1ポイントリードしていた米国選抜。だが2つのフォアサムセッションでは6ポイントの大差をつけられた。米国はフォアサム8試合で1つも勝利を挙げられず、10対6と欧州勢がリードした状態で最終日に突入した。

フォアサムの結果について「なぜ僕らが7対1で負けたのか、僕には答えが見つからない」と答えたのはジム・フューリック。「明らかに“違い”なんだろうね。それはあまりにも大きすぎて、僕らは打ち勝てなかった」。

確かに、2年前のメダイナでの接戦に近い結果を残せたら、米国も多少は救われただろう。だが、世界ランキング上位6人のうち4人がいる欧州選抜が相手では実現しなかった。

セッション開始から2、3時間は米国選抜の多くがリードし、希望も持てた。だが今回が初参戦となったジョーダン・スピースは、グレーム・マクドウェルからリードを奪われ初戦を落とした。ハンター・メイハンジャスティン・ローズをリードしていたものの、その状態を維持できず、結局引き分けとなった。欧州のロリー・マキロイとマーティン・カイマーは手堅く勝利を収め、米国のメンバーはその他の試合でも挽回できなかった。

「欧州が米国をやっつけたんだ」と言うのはワトソン。「肝心なのは、彼らにコテンパンにされたってこと。今回の彼らは(僕らよりも)はるかにすばらしかった。今日(最終日)は僕らにもチャンスがあったけどね。僕らは最初、ほとんどすべてのセッションでリードしていたけれど、それから反撃され、王者たるものを見せられた。彼らはやられてもやり返し、勝利をつかんだってわけだ。欧州が米国を打ち負かしたんだよ」。

米国には2016年のヘイゼルタインでリベンジに臨む前に、次のステップを考える時間が2年ある。ただ、どんな方向へ進もうとも、欧州の圧倒的な強さを崩すのは簡単ではないだろう。今回の一番の功労者で、世界でも最高のプレーヤーであるマキロイはまだ25歳の若さだし、カイマーだって29歳だ。グレーム・マクドウェルと組んでフォアサムを2勝0敗とした、フランスのビクトル・デュビッソンも24歳と若い。

もちろん、米国にも期待の若手はいる。実際に、ジョーダン・スピースパトリック・リードは大健闘し、見ごたえのある組み合わせだった。

だが、対欧州の攻略法を見つけなければ、米国には厳しいものとなるだろう。ミケルソンは、攻略法を見いだすプロセスはすでに存在すると考えている。それが本当ならば、我々は2年後に目の当たりにできるだろう。

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