米国男子ツアー

フィル・ミケルソン、全英オープンと今後のスケジュールについて語る

2013/11/16 18:00

By Brian Wacker, PGATOUR.COM

初制覇を遂げた「全英オープン」と、今後のスケジュールについて語ったフィル・ミケルソン (Getty Images)

フィル・ミケルソンが、「最高だった。あの時が自分のキャリアで何より満ち足りた瞬間だった」と言ったのだ。ならば、誰が反論などできるだろうか?

今年の「全英オープン」を制覇した時、ミュアフィールドの厳しい状況下で、ミケルソンは最終日にスコア「66」を叩き出して優勝をつかみとった。あの時、ほとんどの人はミケルソンが優勝するとは思っていなかっただろう。それは本人も同じだった。

「この大会では優勝する気がしなかったんだ」。金曜、ゴルフチャンネルの“モーニングドライブ”に出演したミケルソンは明かした。「いつも『マスターズ』では勝つつもりでいるし、『全米プロ』や『全米オープン』では勝てると常に信じてきた。『全米オープン』もあと一歩だと思う。でも、『全英オープン』はいつも問題が起きる大会のひとつだから」と語った。

勝利が決定づけられたのは、パー5の17番。ミケルソンが3番ウッドで決めたショットは、最高の技術を見せつける圧巻の一打だった。

左にはバンカー、右サイドには深いラフがあった。

「ミスをするなんてあり得なかった」とミケルソン。「どんな大会でもいざという場面では、アグレッシブな姿勢でショットを決めなければならない。3番ウッドであろうと、オーガスタのように芝が無く枯れた松葉が多いようなゴルフコースであろうと、ここぞという場面で決定的なショットを成功させなければならない。大会で優勝したいのであれば、こういうショットが必要になる」と語る。

ミケルソンの2打目は、フェアウェイを突き抜け、空を切り裂く音を立て、グリーンに弾んで落ちた。2パットでバーディが奪える位置だった。

最終ホールにたどり着いた時には、首位タイにいたミケルソンは2打差のトップに立っていた。

そこからも、ミケルソンは魅せた。18番ホールでは、左から右に風が吹きつける中、6番アイアンで挑んだ。ボールはグリーン左端に着地し、ピンの6メートル後ろにつけた。

「スタンドの観客席が風を遮ってくれたから、ボールは全く流されなかったよ」とミケルソン。「それに、今までで一番良いショットだった」。

勝利のパットを沈めると、ミケルソンとキャディのジム・マッコイは抱き合い、ミケルソンはひと言「やった!」と言った。

しかしミケルソンが堅いグリーンで見事なパッティングを見せたのは今年が初めてではない。2004年もそうだったと本人も認める。同年のロイヤルトゥルーンで行われた「全英オープン」。アーニー・エルストッド・ハミルトンとで行われたプレーオフにあと1打及ばなかったリンクスでもそうだったという。

「リンクスゴルフで挑んだことに感謝できるようになってきた」とミケルソン。デーブ・ペルスと一緒に練習を積み、低いショットを打つ際にスピンがかからないやり方を習得した。「地面の微妙な違いがどうボールに影響するか、ここならどんなショットが必要なのか、そういう事が楽しめるようになった」。

今、ミケルソンが狙うメジャー大会は一つ。未だ優勝を挙げていない「全米オープン」だ。今年のメリオンも含めて、ミケルソンは6度も同大会で2位に終わっている。

来年の「全米オープン」の舞台、それはパインハースト・NO.2だ。ミケルソンが初めて、心ならずも2位に終わった会場である。ミケルソンは、大会前は2~3度会場に足を運ぶつもりだと語った。

また、スケジュールの変更も計画しているという。もっとも彼の言う変更は、シーズンの後半になるだろう。「私のパフォーマンスは安定してから、後半に入って少し落ちる傾向があった」とミケルソン。「だから変更の1つは後半にしようと思う」。

ミケルソンは、「全英オープン」以降は少しのオフを挟んだだけで、かなりの過密スケジュールを組んだと言う。この3番目のメジャー大会の2週間後には「WGCブリヂストンインビテーション」に参戦し、続くシーズン最後のメジャー大会「全米プロゴルフ選手権」に出場する。

その2週間後には4連続となるフェデックスカッププレーオフ大会の1戦目に参戦。つまり、2013-2014年のプレーオフまでぶっ通しでプレーすることになる。さらに今年は「ライダーカップ」もある。

1年間の終盤のスケジュールが一新され、アジアでの大会も加わった。「何かしら犠牲になるものだ」とミケルソンは言う。それと同時に、ミケルソンはパインハーストでキャリアグランドスラムの達成に焦点を合わせていくだろう。その地で、ミケルソンはペイン・ スチュワート に敗北を喫し、その翌日に初めて父親になった。

キャリアの通過点としても、パインハーストは最も感慨深いところだ。その地に戻ってくるのも尚のことだろう。ミケルソンは言った。「『全米オープン』で初勝利をつかむのに、これほど感慨深い開催地とタイミングはないだろう」。