初のフェデックスカップと年間最優秀選手を狙うミケルソン
By Helen Ross, PGATOUR.COM Chief of Correspondents
メジャー大会で5勝、世界ゴルフ殿堂入りを果たし、世界中のゴルフ・ファンに慕われているフィル・ミケルソン。
しかし彼ほどの実力をもってしても、フェデックスカップの栄冠を手にしたことはなく、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)に選出されたこともない。
彼はその両方を望んでいる。42歳の彼は今、欲している。金曜日の初日のラウンドで、それは明確になった。
「ドイツバンク選手権」初日、ミケルソンがマークした8アンダー「 63」について、彼の発言から狙いを推察してみよう。彼は、履歴書にまだ書かれていない、いくつかの栄誉を勝ち取るため、これからの数週間でさらに努力を続ける計画なのだ。
「もしあと1つか2つ優勝して、フェデックスカップでも勝つことができれば」と、TPCボストンでの2日目を首位タイで迎えるミケルソンは語った。「プレイヤー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)も十分、狙えると思うよ」。
6週間前、ミケルソンはその目標へ向けて駆け上がる準備を整え、最終ラウンドで「66」という素晴らしいスコアをマークして「全英オープン」を優勝した。もっとも、彼の今年最高にホットなラウンドは、今季初優勝だった「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」初日、「60」をマークした1月31日のラウンドだったのだが。
前半を「28」で回った「TPCボストン」での金曜日のラウンドも、似たようなフィーリングだった。午後の早い段階で、延長放送する異例の決定を下したゴルフ・チャンネルを含め、観ている人々に「59」を期待させるプレーだった。
先週の「ザ・バークレイズ」最終日でも「65」をマークしたミケルソンは、フェデックスカップで鳥肌もののラウンドを続けて披露している。確実に、何かをしでかそうとしている。
「たぶんこれからの3週間、僕は良いゴルフを続けられると思うよ。そんな感じがするのさ」と、ミケルソン。彼の娘、アマンダがちょうど高校生活をスタートさせたため、ミケルソンは「ザ・バークレイズ」の後、カリフォルニアにトンボ帰りしていた。「時々そういう時があるだろ。ゲームがとても乗っている。そして精神的にも力が湧いてきていて、とても集中できるんだ」。
フェデックスカップポイントで上位を行くタイガー・ウッズ、アダム・スコット(オーストリア)と同組でラウンドした金曜日、ミケルソンは明らかに集中していた。彼ら2人は、フェデックスカップ、そして年間最優秀選手を狙うミケルソンにとって、最大のライバルと言える。
タイガーの「68」を上回った今回も含め、ミケルソンはこれまで15度タイガーと同組でプレーし、9度、ウッズを上回る成績を収めている。
タイガーの存在が、彼に最高のプレーを呼び起こしてくれたのか、と聞かれたミケルソンは、「今日は特段、大きな違いは感じなかったよ」と、答えた。
では、タイガーの感想はどうだろう?
「特に僕に何かが起こっているわけではないね」と、ウッズ。「僕にとってはベストのラウンドではなかった。でも、フィルはすべてを得ていたよ。僕はそれなりにうまくショットを打てたけど、パットがいまひとつだったね」。
ひょっとすると、タイガーはこの結果について誰かと話し合った方がいいかもしれない。なぜなら、フィルがそうしていたからだ。
金曜のラウンド後、ミケルソンは明かした。「最近、今までに見た8人の最高のパターの名手と話をしたんだ。30分から長いと2時間近くも会話をしたよ。実は、メモも取った。そして1つだけ、彼らが共通して言ったことがあったんだ」。
「それは僕だけの秘密だけどね」と、彼ははぐらかした。
ミケルソンは、アドバイスをくれたパターの名手たちの名前さえも明らかにしないだろう。もちろんその秘密も明かさないだろう。トーナメントが終われば、もしかしたら…。
「かもしれないね」と、ミケルソンは言った。
それがどんな秘密であっても、アドバイスが効果てきめんだったことは明らかだ。 最初の4つのバーディはそれぞれ18、28、18、そして15フィートから決めた。その後の3つは、11フィート以内からだった。自己ベストタイのハーフ「28」でラウンドしたのは、何ら不思議ではなかった。
「だからこのスコアを出せたんだよ」と、ミケルソン。「……(力づくで)ピンを倒そうとはしなかった。ただ、チャンスにつけて、ひたすら転がして入れにいっただけさ」。
7年目を迎えたフェデックスカッププレーオフで、ミケルソンは優勝を狙えるチャンスにつけている。過去には3度のトップ5入りがあり、2009年には「ザ・ツアー選手権 presented by コカコーラ」で優勝したものの、ポイント数でウッズに敗れ、年間2位に甘んじたこともあった。
ウッズと、先週の大会で優勝したスコットは、最終戦の会場イーストレイクで自身の運命をコントロールできるポジションにいる。ミケルソンが今週「TPCボストン」で勝利すれば、彼のポジションはより、確実なものとなる。
イーストレイクでの対決に向けて、ミケルソンは明らかにやる気だ。
「このまま歴史を重ねていけば、フェデックスカップはより一層、由緒あるものになるだろうね」と、ミケルソン。「僕も、ここで何かをつかみたいものさ」。
1,000万ドルのボーナスを獲得できれば、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに1票を投じる有権者たちの心を動かすことにもなるだろう。