2013年 タンパ ベイ選手権

グローバーをより良いゴルフへと導く幸福

2013/03/14 15:35

By Fred Albers PGATOUR.COM Correspondent

失ったものばかりではなく、多くの幸福も得たL.グローバー(Getty Images)

今からちょうど一年前。私はインニスブルックの地で、ルーカス・グローバーと言葉を交わした。

2012年の「タンパベイ選手権」開幕前日の水曜日、私が9番のフェアウェイを歩いている時、ルーカスは8番のティグラウンドに向かっていた。

「ヒュンダイトーナメント・オブ・チャンピオンズ」に出場中、ペダルボードで膝を負傷したルーカスは、回復に3か月を要していた。

その5ヶ月後、幾多もの困難を乗り越えた彼が、「全米オープン」などでご褒美を手にする姿は、あの時は誰ひとり想像できなかっただろう。

昨年のこの大会。グローバーの膝の調子は思わしくなく、もちろんゴルフも本調子からは程遠かった。彼は前週でも予選落ちし、昨年はシーズンを通じてわずか6回しか予選を通過することができなかった。グローバーのシーズン最高位は「メモリアルトーナメント」の46位タイだった。

ついに彼は、「ウィンダム選手権」で途中棄権をした。膝は全く回復していなかった。医師によれば、彼の膝の半月板はひどく損傷しており、シーズンを諦めて手術に踏み切ったのだ。

グローバーにとって2012年は最悪の年だったのか。いや、そうではない。彼にとってはあらゆる意味で、思い出深い1年となったのだ。

グローバーはクリスタと結婚し、そしてかわいい女の子を授かった。

彼は愛用のクラブを、ナイキからテーラーメイドに替えた。減量に成功した彼は、トレードマークだった髭もさっぱりそり落とした。私生活の充実ぶりが、今の彼のゴルフにも反映されている。

グローバーは現在、フェデックス・カップで66位。今シーズン5大会に出場した彼は、「ホンダクラッシック」で4位タイに食い込むなど、賞金279,000ドルを獲得している。

膝の痛みに苦しんだ昨年の平均スコアは「72.14」で、順位は183位だった彼は、今シーズンは平均「70.6」で44位と健闘している。

グローバーは再び、しっかりとしたドローボールを打てるまで復活してきた。

私生活における彼の幸せ度合いが、彼のゴルフにどれほどの影響を与えているのかは定かでない。彼の膝が、2012年の不調の原因だったことは間違いないだろう。あえて言うならば、幸せな人ほど調子良いゴルファーになれる、と信じていることだ。

ポジティブな姿勢こそは、向かい風にひるまないドローボールよりも、信頼を置ける。ゴルフと人生は、常に一体だ。前途洋々な時ほど、足元をすくわれがちだ。ほんの1年前、私がグローバーと会話をしたとき、彼はとても幸せそうに見えた。彼の膝は回復し、彼は再びゴルフコースに戻ってきた。彼は惨めなプロ選手になることなく、幸せな私生活も手に入れた。

2012年シーズンは、ゴルファーとしてのグローバーを打ちのめした。しかし同時に昨シーズンは、彼を幸せの彼方へいざなった。ゴルファーとして苦労した5か月の間に、彼は結婚し、家族を持ったのだ。私にはルーカスの気持ちがわかる。彼は実に素晴らしい“トレード”をしたのだ。

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