2018年 WGCブリヂストン招待

“おひとりさま”で最下位脱出 市原弘大の亡き恩師への思い

2018/08/06 08:44
市原弘大は笑顔に秘めた思いを抱えてプレーした

◇世界選手権シリーズ◇WGCブリヂストン招待 最終日(5日)◇ファイヤーストーンCC(オハイオ州)◇7400yd(パー70)

3日目までに通算15オーバーの最下位(71位)に沈んだ市原弘大は、最終ラウンドを第1組で回り、同伴競技者のいない1人でのラウンドとなった。午前8時15分のティオフで、ホールアウトしたのは11時16分。3バーディ、1ボギーの「68」で回り、通算13オーバーの69位タイでフィニッシュした。

3日間苦しんだグリーンでは、この日になってスイッチしたパターが役立った。2オンさせた2番(パー5)から2連続バーディ。ショットの安定感はキープしたまま、「(パットは)自信を持って…というわけではなかったけれど、入ってくれたことでいいリズムで回れた」と本来の堅実なプレーが戻り、初めてアンダーパーを記録した。

早朝のスタートにもかかわらず、場内にはすでに多くのギャラリーの姿があった。「途中から子どもたちも何人かついてきてくれた。ありがたいですね。こんな順位でも。良いプレーをしたいと思わせてくれる一週間でした」。スコア提出に向かうまでの通路では、ギャラリーから差し出された手に対し、ハイタッチではなく、ひとりひとりと握手を交わした。

今大会の開幕前日、耳には悲報が届いていた。ジュニア育成に尽力してきた千葉晃プロが死去(享年73歳)。市原は幼少期に同氏と出会い、ゴルフの手ほどきを受けてきた。脳の病で入院生活が続いた恩師と最後に対面したのは、6月「日本ツアー選手権森ビル杯」での初優勝の報告に出向いたときだった。

ファンと笑顔で別れた36歳は、ホールアウト後に涙ぐんだ。「(プレーしたのが)ひとりだったから、かえって(千葉プロと)一緒にいるんじゃないか、見てくれているんじゃないかなって。試合中は一生懸命、目の前のことに集中したけれど、プレー中も思い出すことがあった。こういうスコアでもしっかり最後まで頑張れた。これからもしっかり頑張っていきます、という報告はできるかなと思います」。

2週前の「全英オープン」から続いた海外遠征は一段落。帰国後は再び日本ツアーを主戦場にし、アジアンツアーの来季の出場権も視野に入れながら戦いを再開する。(オハイオ州アクロン/桂川洋一)

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