2016年 マスターズ

2ボギーもあり得た終盤3ホール 松山英樹が見せた粘り

2016/04/08 09:34
最終18番のバーディであす以降に望みをつないだ松山英樹(Harry How/Getty Images)

流れが変わったのはアーメンコーナーに入った直後の11番だった。「マスターズ」初日、松山英樹は前半を2アンダー「34」で折り返したが、後半は「37」とスコアを落として1アンダーの13位タイ。オーガスタで自身6ラウンド連続のアンダーパーを記録し、過去最高位で初日を終えたが、首位ジョーダン・スピースとは5打差がついた。

開幕前夜、オーガスタには大きな雷鳴とともに激しい雨が降り注いだ。夜が明けると一転、空は晴れ渡ったが、西からの風速5m~13mほどの強風が、終始コースの木々を揺らし続けた。

「グリーンは遅いのかなと思ったけど、途中からは風が吹いていたし、スピードが上がっていた。まあ、あまり影響はなかったと思う」。確かに、この日の26パットはフィールド4位の少なさだった。7番では1.5mのバーディパット直前に体の正面から吹き付ける強風に2度の仕切り直しを強いられたが、落ち着いてカップに沈めた。

だが、問題はショットだった。今年初めてオーガスタ入りした前週土曜日に感じた緊張は、朝の1番ティではなくなっていた。それでも「ここまで悪くなるとは思わなかった」と、ショットの手応えが、昨日までとは違っていた。

11番では1Wを左ファーストカットへと曲げ、グリーン右手前のこぶの上からのアプローチを寄せきれずにボギーとした。14番も2打目をグリーン左へ外してボギー。「14番でボギーを打ってからは、ちょっとしんどかったです」。松山はポロリとこぼした。

この日のハイライトは、終盤3ホールに集約される。16番(パー3)は、ピンをキャリーで越えて右バンカーへと転がり落ちたが、4mのパーパットをかろうじてねじ込んだ。続く17番も2打目をグリーン右へと外したが、傾斜にぶつけるランニングアプローチでタップインに寄せてパーでしのいだ。最終18番は、フェアウェイから8Iで左5mにつけてねじ込んだ。

「17番は難しいアプローチだし、そこをセーブできたので最後にバーディを獲れたと思う。でも、18番はたまたま真っ直ぐいっただけ。(手応えは)あまりない」。それでも、この日の終盤3ホールでの1アンダーは、2オーバーにもなり得ただろう。松山は「(優勝争いの)可能性を潰さなくて良かった」と安堵を見せた。

初日を終えて首位とは5打差。だが「マスターズ」での18ホール終了時点からの最多差逆転は、ニック・ファルド(1990年)とタイガー・ウッズ(2005年)が記録した7打差がある。最終日だけで8打差をひっくり返した例もある。勝負はまだ、これからだ。(ジョージア州オーガスタ/今岡涼太)

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