「ニッポン、チャチャチャ」の大声援 谷原秀人は7位
オーストラリアのロイヤルメルボルンGCで行われた「ISPSハンダワールドカップ」最終日。谷原秀人は2バーディ、3ボギーの「72」で回り、通算2アンダーの7位で自身3度目のワールドカップを終えた。
最終ラウンドは豪州の英雄アダム・スコットと同組だった。出だしの1番でいきなりフェアウェイからの第2打を放り込まれチップインイーグル。2番からは2連続バーディと序盤からエンジン全開のスコットに、地元ファンは大盛り上がり。中でも黄色と緑に身を染めた豪州の私設応援団「ファナティクス」は、大声で替え歌を歌い、10月に米国で行われた「プレジデンツカップ」さながらの光景となった。
ところがこの日は谷原がナイスショットを見せると、なぜか「ニッポン、チャチャチャ」の大合唱が響いた。お祭り好きのファナティクスに、谷原の関係者がスタート前に教え込んでいたからだった。同伴競技者のプレーにも敬意を払うのがゴルフのマナーとはいえ“完全アウェー”となるはずが、敵の騒々しい応援も味方につけ、最後まで粘りのラウンドを展開してみせた。
「スコットはすごいし。簡単にゴルフやっちゃう…あんなに良いゴルフ見せられたら、つらいよね。ほんとに。こっちは必死に耐えてるのに…大変でしたよ」と、最終日に「66」をマークしたマスターズ王者のプレーには思わず苦笑い。それでも前週3年ぶりのツアー優勝を飾って乗り込んできた久々の世界の舞台は、少なからず刺激的だった。
初日からの2日間、ラウンドをともにしたチェ・キョンジュ(韓国)から「アメリカ(PGAツアー)に戻ってこないのか?」と聞かれた。「まだ、無理です」と答えた。まだ?「いや、期待しないで。気分屋だから、行きたいときに行くよ」と、素知らぬ顔。
しかし一瞬の沈黙のあと「でも好きなんだろうね、こういうの。嫌いじゃない。(海外に)出たくなっちゃうんだろうな」と、ハートがうずくのを感じた様子だった。(オーストラリア・メルボルン/桂川洋一)