【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<5>】
今日はアウトコースだけを回りました。オーガスタはインに比べ、やはりアウトコースの方が、好スコアが出にくいですね。
インコースは、パワーのある選手や調子の良い選手ならバーディチャンスに付くケースも多いけど、アウトコースは調子が良くてもなかなかスコアを伸ばす事は出来ません。全体的な距離は、アウトが3725ヤードでインが3710ヤードだからそう変わらないんだけど、ショートホールとロングホールの距離がインの方が断然短いので、その差かもしれません。
アウトをいかに静かに回って、インの数少ないバーディチャンスを決めきれるかが勝負でしょう。
「マスターズはドローヒッターが断然有利」って聞いた事があるでしょ。それはその通りなんです。フェードヒッターは構えにくいホールが多過ぎます。スライサーに至っては、もう不可能に近いですよ。
左にドッグレッグしているホールが特別多いわけではないんだけど、フェードヒッターは打ち出したい方向に高い木が置かれているホールがほとんど。まずティショットでイメージを崩されるのでしょう。
過去にマスターズに挑戦したフェーダーの日本人は、この試合の後、必ずと言っていいほど調子を崩しました。オーガスタでフェードのイメージが全く無くなり、日本に帰ってからは持ち球を捨て、マスターズで通用するための強いドローボールをたくさん練習するようになるケースが多いからです。
当時、世界でもトップクラスのフェードボールを打っていたジャンボ尾崎さんでさえ、マスターズの練習場ではドローボールばかりを練習していたっていうのを聞いた事がありますから。
ところで、藤田さんはまだまだ世間ではフェードヒッターのイメージが強いんですが、実はそうではないんですよ。もちろん、「ここは絶対に曲げたくない」って場面では、押さえ込んだ重たいフェードボールを打つことが多いけど、基本的には風に逆らわず、その時その時で球筋を打ち分けているんです。
ただここはね、いくつかドローではなく、強いフックを打たなければいけない時があるんです。普段のトーナメントではトラブルショットでもない限り、そこまでの強いフックを打つ事はまず無いので、その曲げたショットのイメージが強く残ったせいで、残りのホールに影響する事があるのかもしれませんね。
ここは、過去を見てもレフティのプレーヤーが活躍する事が多かったでしょ。左利きの選手はだいたい持ち球がスライスだから、オーガスタは攻めやすいのかも。このコースを作ったボビー・ジョーンズは絶対ドローヒッターだったんでしょうね。