タイガー・ウッズが語る「セルヒオ・ガルシア初メジャーの可能性」
全米プロゴルフ選手権 事前
セルヒオ・ガルシアのメジャー初制覇のチャンスは、今年の全英オープンでも訪れました。2002年の最終日のように、タイガーと最終組で回ることになったガルシア。土曜日にフロントナインを29としていただけに、序盤の活躍が期待されましたが、2番で3パットのあと、3番でも2ホール続けての3パット。ウェッジで打った8番の第2打は、パットの不調が連鎖反応のようにショットにも響いてバンカーに入れてしまいます。この8番もボギーとすると、続く9番も連続ボギーで、フロントナインだけで4オーバー。結局、2位タイで最終日を迎えたものの5位タイに終わり、メジャー初制覇はまたしてもお預けとなってしまいました。
ガルシアは今週の全米プロゴルフ選手権でどんなプレーを見せるでしょうか?メダイナCCといえば、ガルシアがメジャーで最初に優勝争いを展開した場所です。その99年、ガルシアからチャンスを奪ったのがタイガー・ウッズでした。
記者
「メダイナといえば、あなたとセルヒオ・ガルシアの99年の一騎打ちが最も印象的ですが、当時のこと、特に16番のガルシアのショットについて話していただけますでしょうか?」
タイガー・ウッズ
「私はちょうど16番のティに到着したところでセルヒオのショットは見ていなかったのです。気がついたのは、彼がちょうどフェアウエイを走り始めたときでしたね。そんなセルヒオを見て、ものすごくいいショットか最悪のショット、どちらかに違いないと思いました。そしてグリーンを囲むギャラリーの大歓声で、改心の一打だったことを察知し、ピンにかなり寄ったと理解しました。となると、自分は残されたわずかなホールで頑張るしかないと思ったのですが、結局私は16番でボギー、続く17番と18番がパーでした」。
26歳にしてPGAツアー6勝、アメリカ以外で10勝となれば見事な成績ですが、ガルシアにとってはそうは言えません。ガルシアは99年の全米プロで惜しくも優勝を逃しましたが、いまだにメジャータイトルがないことにがっかりという人も多く、実際チャンスはあってもなかなか勝利に手が届かない状態が続いています。
ガルシアは、1999年に19歳で華々しくプロデビュー。プロとしての初戦、バイロン・ネルソン・クラシックでは、初日いきなり62を叩き出し5位タイに入り世界が注目。その99年の全米プロに、1921年のジーン・サラゼン以来となる最年少選手として出場しました。
タイガー・ウッズ
「セルヒオと私は似たようなゴルフをしますね。二人ともかなりアグレッシブに攻めますし、飛距離もあり、想像力に富んだプレーを好みます。セルヒオは感情をあらわにしますが、彼が何を考えているかよくわかります」。
タイガーに対抗する若手の出現に飢えていたゴルフ界。最終日、情熱の国スペイン出身のガルシアは、メダイナでガッツあふれるプレーでチャージをかけます。そんなガルシアのメジャータイトル獲得は、運命のようにも思えました。
彼は99年の全米プロのあとも、何度かメジャーで優勝争いを展開しました。2001年の全米オープンでは、第3ラウンドを終了し、トップを行くレティーフ・グーセンとスチュアート・シンクに1ストローク差と迫りました。
セルヒオ・ガルシア
「勝てるだけのゴルフをしていると感じるので、明日も引き続きいいプレーを心がけるだけです。忍耐力とともに賢いゴルフをするだけですが、それができたらトロフィ獲得も夢ではないでしょう。でもメジャーで再び優勝争いをしているという事実が、なんと言っても嬉しいですね」。
そう語ったガルシアでしたが、最終日は序盤にパーを拾うのが精一杯。過去3日間冴え渡ったショットが、ガルシアらしくないミスショットとなり、さらにパットに泣かされました。フロントナインで優勝争いから脱落すると、終わってみれば7オーバーの77というラウンド。
2002年ベスページブラックでの全米オープンでは、コースとパターに苦しめられただけでなく、何度も握りなおすグリップをからかう心無いニューヨークのギャラリーが登場。日曜日、タイガーと一騎打ちとなり再びヘビー級のマッチが期待されました。トップのタイガーとは4ストローク差。99年の復讐を果たしたいところでしたが、再びパターに裏切られてしまいます。またしてもフロントナインで自滅し、ファイナルラウンドを4オーバーの74としたガルシアは、最終日のプレッシャーに耐えられないのではという声も聞かれました。
セルヒオ・ガルシア
「残念ですが、こういうこともあるものです。これからもトップ争いを続けるしかありません。何度もチャンスを手にすれば、いつか優勝の日が来るでしょう。そしてその壁さえ破れば、すべてがもっと楽になると思います」。
ガルシアは翌2003年の全英オープンで再びチャンスを手にします。彼は最終日、トップのトーマス・ビヨーンと2ストローク差でスタートしました。
セルヒオ・ガルシア
「自信もあるので、楽しみです。とにかく幸先いいスタートを切り、そのままいいプレーを続けたいですね」。
しかし、またしても大事な場面でパットが決まらず、フラストレーションとともに、スコアも高くなりました。
ガルシアはワールドランキング・トップテンでシーズンを終えたことが4回あります。それでも彼は、未だにメジャータイトルを持たない偉大なプレーヤーというカテゴリーから抜け出すことができません。
2006年もここまでメジャーの優勝争いで苦戦が続いています。今年の全米プロは、ガルシアが世界にその名を知らしめたメダイナに戻ってきました。26歳になったガルシア、7年前にみせた自信あふれるプレーで今度こそタイトルを手にしたいことでしょう。