“パー67”発言は「間違いなくミスだった」 デシャンボーがLIV初のマスターズ制覇へ
◇メジャー第1戦◇マスターズ 初日(11日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
コロナ禍で異例の11月開催となった2020年大会。同年9月「全米オープン」でメジャー初制覇を成し遂げたばかりだったブライソン・デシャンボーを優勝候補の筆頭に推す声も少なくなかった。
圧倒的な飛距離を武器に超ハードセッティングのウイングドフットGCをねじ伏せて乗り込んできたデシャンボーも強気だった。「自分にとっては“パー67”だと思っている。コンディションが荒れなければ、すべてのパー5を2オンできるから、問題ないよ」
独自の理論と取り組みで“ゴルフ科学者”とも呼ばれ、自らの成績でそれを証明してきた。しかし、34位に終わった同年「マスターズ」を含め、以後12ラウンドで「67」を上回れたのは21年大会2日目だけ。直近2年はいずれもオーバーパーで予選落ちを喫している。
8バーディ、1ボギーでオーガスタ自己ベストを更新する「65」をマークした直後に問われたのも当時の発言について。「たしかに僕はそう言ったし、それに対するみんなの意見を尊重する。僕自身、数年前とはこのコースに対するリスペクトも少し違っていて、きょうは明らかに素晴らしいゴルフのテストだったし、とても難しいゴルフコースを攻略することができた。誰だって完ぺきな人間じゃないし、失敗から学ぶもの。“アレ”は間違いなくミスだった」。わずかな後悔もにじませながら謙虚に言った。
22年7月のLIVゴルフ移籍を経て、PGAツアー時代よりもゆとりのあるスケジュールでゴルフと向き合ってきた。時速200マイル(約320キロ)も「出そうと思えば簡単」というボールスピードは190マイルほどに抑え、「いまのギアはそのスピードでうまく機能してくれる」。1月にもオーガスタナショナルGCを訪れ、今週使っている新しい1Wで左ドッグレッグの13番(パー5)のコースなりに求められるハイドローを打てるかチェックするなど、入念に準備してきた。
出だし3連続バーディに始まり、12番(パー3)からの7ホールでも5バーディを追加。全てがかみ合い、暫定ながら19年大会に続く2度目の首位発進を決めた。改めてオーガスタ攻略法を聞く、ちょっと“意地悪”な質問には「またそういうことを言わせようとしてるんでしょ?」と笑ってかわし、「きょうの『65』はキャリア最高のラウンドのひとつ。あと3日ある事実も見失っていない。やるだけさ」。LIV所属選手としては昨年「全米プロ」のブルックス・ケプカに続くメジャータイトルへ勢いよく飛び出した。