パリ五輪代表争いは「全米オープン」で決着 松山英樹と久常涼を追いかけるのは?
オリンピックイヤーの2024年、「パリ五輪」のゴルフ競技はフランスのル・ゴルフナショナルで行われる。女子に先駆けて男子が8月1日に開幕。世界ランキングをもとにした独自の五輪ランキングによって決まる出場権争いは、メジャー「全米オープン」の直後に当たる6月17日まで続く。60人に絞られるフィールドにおいて2枠が見込まれる日本勢、さらには海外勢の現状を23年12月31日付の世界ランクでおさらいする。
中島啓太&星野陸也は欧州から逆転へ
世界ランク46位の松山英樹が日本勢最上位で引っ張る構図はこれまでと変わらない。21年の東京五輪は母国開催のエースとして、さらに同年の「マスターズ」覇者としてひときわ大きな期待を背負い、銅メダルをかけたプレーオフまで死力を尽くして戦い抜いた。1月4日開幕の「ザ・セントリー」から始まる新シーズンもPGAツアー、メジャーで勝つためのスケジューリングはブレることなく、それを全うした先に五輪がある。
76位の久常涼は、昨年9月に同じル・ゴルフナショナルが舞台だった欧州ツアー「カズーオープンdeフランス」で優勝して2番手に躍り出た。前回3年前の時点では、まだ下部ABEMAツアーが主戦場だった21歳。日本のレギュラー、欧州とステップを踏み、今季からいよいよPGAツアーに挑戦。キャリアの転換点といえる五輪コースとの縁も、代表入りへの思いを強くする理由だ。
各国・地域の出場人数は世界ランク15位以内なら最大4人、16位以下の場合は最大2人となるため、日本も2枠目の争いが激しい。88位の中島啓太、89位の星野陸也とも欧州ツアーを主戦場に逆転を狙う。2大会連続出場がかかる星野は昨年11月のシーズン開幕から2週連続2位に入って大きくランキングを上げた。111位の蝉川泰果、115位の金谷拓実がチャンスを広げるためには海外での好成績が求められる。
米国は世界9位が圏外 LIVから五輪も
上限4枠を使う唯一のチームとなりそうな米国の代表争いは、やはりハイレベル。前回の金メダリスト、ザンダー・シャウフェレ(6位)であっても、スコッティ・シェフラー(1位)、パトリック・カントレー(5位)に次ぐ3番手。昨年メジャーを制したブライアン・ハーマン(9位)とウィンダム・クラーク(10位)、前回銅メダルを争うプレーオフに残ったコリン・モリカワ(13位)らも圏外となっている。
世界ランク適用対象外のLIVゴルフに移籍した選手たちは軒並み大きくランクを下げているが、それでも6カ国7人が圏内にいる。チリのホアキン・ニーマン(65位)とミト・ペレイラ(114位)は3番手以下を引き離しており、そろって2大会連続で切符をつかむ可能性も十分。東京でもプレーしたジンバブエのスコット・ビンセント(336位)は五輪ランク59番目。他国の選手だけでなく、同じLIVへの加入が決まった弟のキーラン・ビンセント(402位)も“ライバル”だ。
五輪競技として112年ぶりに復活した2016年リオデジャネイロから3大会連続出場の圏内にいるのは、東京で銅メダルのC.T.パン(台湾/172位)ら5人。前回銀メダルのロリー・サバティーニ(スロバキア)は863位までランクを下げており、現在五輪ランク60番目のダン・ハウジン(オランダ/339位)とは大きな開きがある。デンマークのニコライ・ホイゴー(50位)は、東京で代表だった双子の兄・ラスムスに続く出場へ同国最上位にいる。