「クラレットジャグ」の前はベルトだった/いまさら聞けない全英オープン(6)
◇メジャー最終戦◇全英オープン 3日目(22日)◇ロイヤルリバプール(イングランド)◇7383yd(パー71)
男子ゴルフの世界最高峰といえるメジャートーナメントの2023年最終戦はあす最終ラウンドを迎えます。「全英オープン」は4つのメジャーで唯一、米国でなく英国で行われる試合。いまさら他人に聞けないポイントをおさらいします。
全英オープンの勝者の証、クラレットジャグはワインを飲むための“水差し”がモチーフ。「マスターズ」のグリーンジャケット、「全米オープン」の金メダルと巨大なカップ、「全米プロ」のワナメーカートロフィと並んで男子メジャーのタイトルを示します。
90%以上が銀製のジャグはセントアンドリュースなどがある、スコットランド・エジンバラの職人によってつくられました。5.5インチ(13.97cm)の台座を除くと、高さは20.75インチ(約52㎝)、重さ5.2ポンド(約2.5kg)。ワナメーカートロフィが高さ約74㎝、重さ約15kgですから、かなり小ぶりに見えます。
正式名称はジ・オープンの優勝者を決める「ザ・ゴルフチャンピオントロフィ」ですが、ほとんどそうは認識されていません。
クラレットジャグが初めて優勝者の手に渡ったのは1873年。それ以前、第1回大会の1860年からはシルバーのバックルとエンブレムが入った革製ベルトがチャンピオンに贈られていました。当時「3回連続で優勝した選手のみ、クラブからの持ち出しが可能」というルールがあったのですが、1870年にヤング・トム・モリス(スコットランド)がそれをついに達成したのです(開催されなかった71年を経て72年まで4連勝)。
73年大会で完成したクラレットジャグを初めて獲得したのはトム・キッドというゴルファー。以来、クラレットジャグには優勝者の名前が刻まれています(72年優勝のヤング・トム・モリスの名前から)。チャンピオンが現物を所有できる期間は翌年の全英オープンまで。あす、伝統のトロフィを持ち帰るのは誰でしょうか。
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