2023年 全英オープン

本邦初公開!中島啓太の“地下秘密基地”がスゴイ/単独インタビュー(上)

2023/07/13 17:00
中島啓太が自宅につくったトレーニングジム&スタジオを大公開!

「ストイック…じゃないと思うんですけど、全然」。昨年4月に完成した“秘密基地”で、中島啓太は首をかしげた。

埼玉県内にある中島の自宅の地下。コロナ禍の隔離生活中も体を動かす目的で作ったトレーニング兼ショット練習場はいま、毎日足を運ぶ“遊び場”になった。

ジムの扉の向こうにシミュレーションスタジオを完備

本格的なトレーニングマシン5台が並ぶジムと、トラックマンを置いたシミュレーションゴルフの練習スタジオを併設。打席近くにはモニターが設置されていて、日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチーム時代から教わっているガレス・ジョーンズ・コーチとのオンラインセッションも行える。

壁際には歴代の使用クラブやキャディバッグが並び、「マスターズ」の記念写真やフラッグが飾られた室内は、まるで地下秘密基地のようだ。

「女子レベル」からコリン・モリカワへ

愛用してきたクラブがずらり

「もともとは打つところだけを作る予定で。トラックマンがあったので、それをちゃんと使えるくらいのスペースがあればいいなと。そう栖原トレーナーに話したら、『ジムも作った方がいいよ』って」

自宅にジムを設置するよう勧めた張本人は栖原弘和トレーナー。「家にあったら、普通は逆に行かなくなりますよね」と笑うが、中島が“普通”以上のストイックさを持っていることはよく知っている。JGAのフィジカルコーチとして、中島が15歳でナショナルチームに入った当時からトレーニング指導にあたり、3年前に本格的な体づくりに取り組み始めた。

思い出のフラッグも

秘密基地は昨年4月の「マスターズ」を終えて帰国するころに完成。室内には栖原トレーナー監修でハーフラック、プレート(180kg)、トラップバー(20kg)、ランニングマシン、ケーブルマシン、バーベル(20kg)、ダンベル(40kg)を入れた。これらを使って行うトレーニングは、下半身の筋力を鍛えるブルガリアンスクワットやデッドリフト、瞬発力を鍛えるカウンタームーブメントジャンプ、体幹を鍛えるベンチプレス…などなど。

ウォーミングアップで軽々持ち上げた60kgの重りは、中島のちょうど中学3年の頃の体重と同じくらい。「中3のときはガリガリで、女子レベルって言われました。トレーニングも女子選手と一緒にやっていたので」。初めてのナショナルチーム合宿では2つ年上の畑岡奈紗勝みなみ新垣比菜松原由美らと同じトレーニングメニューに取り組んでいた。

スイング強化に特化したマシン

華奢な体はそこから一回り以上成長し、現在は身長177cm、体重77kg。「ここから筋肉を大きくしていく段階。『あの人、体が軽そうだな』って思われる選手になりたいです」と理想のフィジカルに挙げたのはコリン・モリカワの体。今年2月の米ツアー「ザ・ジェネシス招待」に参戦した際、契約するマネジメント会社「エクセルスポーツマネジメント」の紹介でモリカワが通うジムを訪れ、刺激を受けた。

「体幹が締まっている感じがして、いつ見てもキレが良くて。疲れていても、そういうキレが出せる体でいたいと思います」と、今は試合をこなしながら週3回のトレーニングセッションを行っている。

成果を実感するシーズンに

25~30歳をピークに見据えてきたトレーニングの成果は、ツアーフル参戦1年目の今季早々に表れた。プロ初優勝を飾った6月「ASO飯塚チャレンジド」を含め初夏に5週連続の優勝争い。「疲れていても試合中はちゃんとこなせる。体で不自由していることはないです」と自信を持って戦えた。

連戦に耐えられる体と、ヘッドスピード「127mph」を目指して

ダンベルトレーニング

ここ数年、ほぼ一貫したトレーニングメニューは、二つの目的を持って組んでいる。

一つ目は「けがをしない体づくり」。アマチュア時代は腰を中心に体を痛めることが多かった。「試合でパフォーマンスが出せないのもそうですが、試合前の練習やトレーニングができなくなるのが本当にもったいない。もっとけがをしないようにと思っていました」と、プロの連戦に耐えられる体づくりは大きな課題だった。

二つ目の目的は「ヘッドスピードの向上による飛距離アップ」。一般的に、ヘッドスピードが2~3 mph(マイル/時)上がると5~10ydの飛距離アップが臨めるという。ただこの2mph、そう簡単には上がらない。「ハイレベルのアスリートが、試合に出ず8週間全力でトレーニングして上がる数字」と栖原トレーナー。

ヘッドスピード向上への意欲

昨年115~118mph(51.4~52.75m/s)だった中島の1Wのヘッドスピードは120mph(53.64m/s)まで向上。「優勝争いができている日曜の朝は、普通に振っても120~121mph(約54m/s)くらいは出るようになってきました。だいぶ変わりましたが、最終日に123~126mph(約54.98~56.32m/s)まで持っていけるフィジカルにしたいと思っています」と中島は話した。

だが、栖原トレーナーが最終目標に掲げるのは127mph(約56.77m/s)。「PGAツアーの上位5%が125~127 mphと言われています。今年中に125mphまで持っていけたらいいですね」というトレーナーの言葉に、中島の笑顔がちょっとだけこわばった。

今は焼肉ザンマイだけど… アマチュア時代はラーメン厳禁の食事管理も

最近の食生活は

日体大時代は、トレーニングだけでなく徹底した食事管理も行っていた。きっかけは体調を崩して大幅に体重が減ったこと。大学1年時、盲腸炎で6kg減。戻った体重は、大学3年のときにかかった扁桃炎でまた6kg落ちた。

「ちゃんとした食事で戻さないといけない。体重・体脂肪・脂肪量・筋肉量を記録して管理栄養士さんに送って、全部の栄養素を摂取するようにしていました」

6月に23歳になったばかり

当時はラーメンなどの栄養が偏る食事を避けていたが、体重が戻った今は“ガッツリ&コッテリ”な食事も解禁。夜は仲のいい先輩、河本力らと焼肉店に出かけるのが、ツアー生活の定番になった。

「量は一応気を付けています」と話したが、テーブルに並ぶ肉の皿を思い出すとちょっとだけ胃もたれがする。優勝した「ASO飯塚チャレンジド」の最終日も、実は胃もたれを引きずって朝からうどんを無理やり流し込んだ。「朝、本当に食べられなくてちょっと“オエッ”となるくらい(笑)。力さんに比べたら、食べる量は大したことないんですけどね」なんてエピソードも23歳の男子らしい。それでもしっかり勝ちきってしまうのだから、それもトレーニングの成果…かもしれない。(編集部・谷口愛純)

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