2022年 マスターズ

フラッグへのサインは“真ん中”に/マスターズチャンピオンの世界

2022/04/05 15:00
マスターズのフラッグ。チャンピオンのサインは中央に

◇メジャー第1戦◇マスターズ 事前情報◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7510yd(パー72)

「マスターズ」には毎年、前年大会王者に課せられる仕事や、伝統的なしきたりがある。松山英樹は2022年、その世界に初めて足を踏み入れた。

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有名選手にとって、サインはファンサービスでもあり、仕事にもなりうる。松山のようなトッププロであれば、メジャーをはじめとした大きな試合のたびに大会のお土産用のフラッグにペンでサインを入れ、スポンサーや関係者、友人へのプレゼントすることも多い。

マスターズの黄色いフラッグに、松山はアマチュア時代からサインをし続けてきた。中央にあるクラブのエンブレム(北米とピンフラッグを模したデザイン)の外側、「自分の好きな」右下部分に入れるのが習慣で、2021年は試合前に約100枚は仕上げていたという。

最終日、中継局CBSの優勝インタビューを受け、放送ブースを出た松山を待っていたのは、過去に3度グリーンジャケットを獲得したニック・ファルド(イングランド)だった。フラッグの束を手に「サインをくれ」と満面の笑み。いつものように松山が右下部分にペンを走らせようとすると、ファルドはその手を制して言った。

”In the middle!” 「チャンピオンは真ん中だろ!」

かくして、松山は「2021年」と開催年が刻まれているマスターズのフラッグには中央部分、エンブレムの内側にサインを施すようになった。「優勝者の暗黙のルールみたい。忘れていて、ファルドに言われて気づきました」。この1年で松山はコース内外を含めて「たぶん3000枚くらい」のフラッグに名前を記したという。

ちなみに、試合前に準備していたお土産用のサイン入りフラッグは、新しいものに書き直す羽目になった。「結果的に右下にサインが入っているもの(2021年モデル)のほうがレアになってしまった…」

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