新型コロナ感染明けのスピース 復活2勝目は「ホームイベント」で?
◇米国男子◇AT&Tバイロン・ネルソン 3日目(15日)◇TPCクレイグランチ (テキサス州)◇7468yd(パー72)
グリーン奥の刈り込まれた芝の上。パターを手にしたジョーダン・スピースはカップよりも大きく右にスタンスを取り、グリーン上で下るラインにボールを乗せた。「それまで2回、フリンジ(グリーン周りの刈り込み)からのパットが跳ねて、ゆっくり転がった。ゾイジア芝には慣れていなくて、少し強めに打ってみた」。わずかな体験から感覚を研ぎ澄ませ、鮮やかなイーグルフィニッシュを決めた。
「大歓声を浴びるのはいつだって楽しい。ダラスならなおさらだ。あしたへの自信になるよ」。6位から出たこの日は前半5番(パー5)までパーを並べた後、スコアを伸ばして「66」。首位を走るサム・バーンズとの差を6から3ストロークに縮め、通算17アンダー3位で勝負の18ホールを残した。
4月の「マスターズ」以来、1カ月ぶりの出場試合。この間、新型コロナウイルスに感染し静養して回復を待った。「だから正直言って今週、期待はしていなかった。先週までのラウンドは2回だけ」と、じっくりフィーリングを取り戻しているところ。前日のラウンド後はパッティングのセットアップを調整した。スタンスをわずかに広く取り、身体を曲げて前傾を深くする構えに戻したという。
マスターズ前週に4シーズンぶりの優勝を飾った「バレロテキサスオープン」はテキサス州のサンアントニオで行われた。今大会の会場があるマッキニーはダラス北東の郊外で、より馴染みのある地域でもある。
新型コロナ禍でワクチン接種が進み、場内には連日約1万2500人前後の観客が動員されている。AT&Tはスピースの長年のスポンサー。さらに昔を紐解けば2010年、高校生だったころに初めて出場したのがこの大会だった。「僕にとってのホームイベント」でテンションが高まってきた。