“マスターズ・ワンツーフィニッシュ”が競演 松山英樹はザラトリスと伸ばし合い
◇米国男子◇AT&Tバイロン・ネルソン 3日目(15日)◇TPCクレイグランチ (テキサス州)◇7468yd(パー72)
優勝争いからは遠い位置にいても、妙に毎日がストーリーめいてしまう。1カ月ぶりのツアー復帰戦で松山英樹は、「マスターズ」最終日に優勝を争ったウィル・ザラトリスと初めてラウンドをともにした。
互いにカットライン上の6アンダー53位で進んだムービングデーは、開始から強く吹いた風に苦しめられた。松山は2番で2mのチャンスを外し、5番(パー5)で最初のバーディ。6番からアプローチミスで2連続ボギーをたたいた。上空がざわめく12番(パー5)、アイアンから5Wに持ち替えた2打目をピン左4mにつけるショットを見せながら、フィニッシュとなるイーグルパットを決めきれなかった。
悶々とした空気は終盤にようやく晴れた。パッティングでの試行錯誤がようやく結果に表れた。「打ち方もそうですけど、いろいろ考えながらやっていたことが15番(パー3)のパットで当てはまった」。5mのバーディパットはカップに収まる前に、決まることを確信めいて歩き出し、続く16番(パー5)では10mを流し込んで2連続とした。
ツアーにカムバックして3ラウンド目に修正ポイントをはっきりとさせ、「時間がかかったなというところ。でもショットも16番のティショットから良かった。きっかけみたいのは見つかりそうかなと思います」。最終18番(パー5)も3mのチャンスを外さず、3日間でもっとも多い6つ目のバーディで締めくくった。
「スコアが良くなかったが、最後いい形で終われてよかった」。通算10アンダー、44位に順位を押し上げた「68」にも満足はないが、「まだフィーリングが戻ってきてないけど、最後のアプローチも良かった。ちょっとずつ戻りそう」とまた一歩前進した。
マスターズ“ワンツーフィニッシュ”の注目組は、この日ばかりは1打の差で、地元テキサスの声援を浴びたザラトリスに軍配。オーガスタでの最終日は別の組で争い、ふたりはこの日の朝が初対面と言えた。だから白いキャップにブルー系のシャツがそろったのは偶然で…。
松山は「(一緒に)回るのは初めて。スピードがありますし、ソツがない感じです」と今季、平均飛距離で306.9ydをマークしている24歳の新星について口にした。「(若手の実力者が)毎年、毎年出てきています。負けずにやりたいなと」。戻った主戦場はやはり刺激的だ。(テキサス州マッキニー/桂川洋一)