「全英オープン」で批判を買った渦中の人、セルヒオ・ガルシアのインタビュー
セルヒオ・ガルシアの記者会見は、フィル・ミケルソンが2006年の「全米オープン」で自滅した後、初めてメディアの前で会見した時と同じくらいに待ち望まれていた。ガルシアは「全英オープン」で優勝を逃した直後の記者会見で感情むき出しのコメントを連発し、ファンやメディアを失望させた。特に「自分だけが幸運から見放されたことで優勝を逃した」とのコメントは反発を買ってしまった。そして今日、ガルシアは再びメディアが注目する中、記者会見場に姿を現した。
プレッシャーのかかる記者会見。再び感情をコントロールできないガルシアを期待しているメディアは、少なくなかったはずだ。
記者
「“全英オープン”が終わった後、“自分だけがツキに見放された”といった内容の発言をしましたが、それを後悔していますか?」
セルヒオ・ガルシア
「いいえ、感情的だったのは認めますが、私は自分の気持ちを素直に話しただけです。あれが正直な気持ちだったのです。パドレイグ・ハリントンの優勝を過少評価するつもりはありませんでした。私は優勝にふさわしいプレーをしましたが、残念ながら勝てませんでした。多少、幸運に恵まれていたら、結果は違っていたと思います。その悔しい気持ちを率直に表現しただけでした。」
ジョン・ホプキンス(ロンドン・タイムス紙)
「今日のガルシアは優等生。“全英オープン”では違いましたけどね。3番アイアンで230ヤード飛ばせる素晴らしい選手といえども、公の場では思慮深さと紳士としての態度を忘れてはいけません。どんなに不快な思いをしても、大人であり続けるべきなのです。」
ダン・ジェンキンス(ゴルフ・ダイジェスト誌)
「ガルシアをワガママな子供と呼ぶべきではありません。ガルシアが感情を抑えられなかったのは当然です。彼は誰よりも素晴らしいプレーをしたのに優勝できなかったわけですから、失望が大きいのは当たり前ですよ。」
ジェフ・ルード(ゴルフ・ウィーク誌)
「“全英オープン”の取材を終えてアメリカに戻ると、優勝したハリントンよりも、ガルシアの記者会見の方が話題になっていました。自分をあたかも犠牲者のように見ていたガルシアの方がハリントンより騒がれていたことに驚きました。」
ジョン・ホプキンス(ロンドン・タイムズ紙)
「様々な人達が、ガルシアと話し合ったと思います。特にガルシアのお父さんは思慮分別のある人ですから、息子にあれこれ言い聞かせたことでしょう。」
セルヒオ・ガルシア
「ハリントンは、チャンピオンにふさわしいプレーを続けたと思います。でも、プレーオフの前に優勝を決めるパットに臨んだのは私だけでした。それを誇りに思っています。4日間、トップに立てたのはいい経験になりましたし、多くのことを学びました。72ホール目に優勝を決めるパットが入らなかったことは残念でしたけどね。」
ダーモット・ギリース(サンデー・インディペンデント紙)
「ベン・クレンショーは、99年の“全米プロゴルフ選手権”でガルシアが見せたスキップについて、“ゴルフ界で最も素晴らしいリアクションだと思う”と話していました。ボールの行方を追いながらスキップするガルシアは、ナイーブで少年のような心を持っていましたが、あれからの8年でガルシアは随分変わってしまったのでしょう。」
ジェフ・ルード(ゴルフ・ウィーク誌)
「ガルシアは好感の持てる若者です。私の友人の頬に無邪気にキスをしたり、楽しそうにスキップしながら道を歩くガルシアの姿が、私の瞼に焼き付いていますね。ガルシアはいい性格ですが、いつまでもクヨクヨしたり、思い通りに行かないことに対する不満を言う癖さえ直せば、誰からも好かれるでしょう。」
ジョン・ホプキンス(ロンドン・タイムズ紙)
「年令よりも若い心とゴルファーとしての長いキャリアのアンバランスの中で、葛藤が起きていると思います。」
ガルシアにとっての課題は、感情をどこまで抑えられるか。自分自身をコントロールできなければ、ガルシアはこれからも論議を呼ぶ発言を続けることだろう。そして、ガルシアが大人になるための特効薬は、何よりも優勝を重ねることだ。華やかさと優れた才能を兼ね備えたガルシアはゴルフ界の宝。記者会見場に詰めかけたメディアの数で、いかにガルシアが注目されているかが伺えるというもの。ついこの間まではミケルソンがいつメジャーで勝てるのかがビッグストーリーとなっていたが、現在はガルシアに変わっているようだ。