2014年 全米女子オープン

メジャーVへ首位と5打差も…横峯さくら「全然見えない」

2014/06/22 07:56
最終ホールが悔やまれるが…横峯と首位との差は1つ縮まり5ストロークに

ノースカロライナ州のパインハーストNo.2で開催中の「全米女子オープン」で決勝ラウンドを2オーバーで迎えた横峯さくらは、3日目を1イーグル、2バーディ、5ボギーの「71」(パー70)で回り、通算3オーバー。前日の7位タイをキープし、首位との差を5ストロークとして最終日を迎えることになった。

カップの左をわずかに逸れるボールに目をやり、顔をしかめた。「(第2打を)フェアウェイから打っているのにピッチングでグリーン左に外してしまった。ちょっと、バカだなと」。最終18番、3メートルのパーパットを沈め切れず、痛恨のボギーフィニッシュ。メジャートーナメントでの1打の重みを理解しているだけに、自分を厳しく責めた。

スタート時点で首位とは6打差。残り186ヤードの第2打をピン手前4メートルにつけた5番(パー5)で、2日連続のイーグルを奪う見せ場もあったが、今週の課題としているアプローチが不調だった。6番ではグリーンサイドのバンカーから脱出に2打を要し、8番、9番ではいずれも2メートル強のパーパットを残し、外した。

それでも後半は12番で残り120ヤードの第2打をピンそば60センチにつけてバーディ。さらに15番(パー3)では、10メートルのバーディパットを最後のひと転がりでねじ込んだ。確かに最終ホールのボギーは痛いが、後ろを回った上位陣も苦しんだのは同じ。首位との差を1ストローク縮めたのが、結果だ。

樋口久子以来となる日本人史上2人目の女子メジャー制覇は依然として射程圏だが、横峯は「優勝? 私には全然、見えてないんですけど…」と困り顔で言う。夫のメンタルトレーナーの森川陽太郎氏とはこの日、朝の身支度を整える時間に、こんな会話があったことも明かした。

「予選を通過したら、安心してしまってボギーを打っても、それが当たり前になってしまう。バタバタと崩れてしまうケースが多い」(さくら)

「それなら、ちゃんと決勝ラウンドでの狙いを決めよう」(森川氏)

2人で設定した“OKライン”はトップ10入り。悲観せず、過信せず、許容範囲を拡げる考え方はメジャーでもしっかりと通用。横峯はこの何気ない会話を「トレーニング」と言う。最良のパートナーを得たことで、ゴルフは一層、生活の一部になった。

幼い頃、「全米女子オープン」という響きに「すごい世界があるんだなあ」と圧倒された、淡い記憶がある。その“世界”の頂はいま、手の届くところにある。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)

2014年 全米女子オープン