国内男子ツアー

ツアープレーヤーたちのバレンタイン<鈴木亨>

2010/02/15 11:13
オフには家族と過ごす時間を大事にするという鈴木亨

恋人たちのイベント、バレンタインデーが先日、終了しました。みなさんには、愛に満ちた1日でしたか? さて、それでさっそく今週は、それにまつわるプロゴルファーのお話です。

賞金ランキングによるシード選手としては、最長の17年連続のシード権を確保している鈴木亨。今年44歳は、1966年生まれ。2月14日に女性が男性にチョコレートを贈る習慣が日本で始まったのは、1970年代の後半だそうだから、ちょうどそのはしりの時期を経験した世代である。

小学2年のことだったそうだ。クラスメイトから、チョコレートをもらった。もちろん、嬉しいには違いなかったが、残念ながら好きな子ではなかった。その翌月の3月14日を“ホワイトデー”と銘打ち、今度は男性から女性にお返しをする習慣は知っていたが、「それは、相手のことを好きな場合だけと思い込んでいたんです」。

根っから真面目な性格。それは当時から変わらず、「好きでもないのに、いい加減な気持ちでお返しはしてはいけない」という思いから、何事もなくその日をやり過ごしてしまった。

するとその翌日から当の女子ばかりか、なんとその友達にまで無視されるようになってしまったのだ。苦笑いで振り返る。「義理チョコってものの存在は、あとから知りました。好きでなくともきちんとお返しをするのが礼儀だったんだと。あれは、子供心にショックでしたね。今でも切ないトラウマです」。

そんな純な亨少年も、今や立派な二児の父。約3ヶ月の長いオフ。以前は、ハードなトレーニングに励んだり、熱心にラウンドの実戦練習を重ねたり、パット練習にシーズン中の倍の時間をかけた時期もある。

「でも、なぜかやればやるほどかえって怪我をしたり、結果が出なかったり」。苦い経験を重ねてたどりついた答えは「オフは、あえて特別何もしない」。近ごろでは開幕までに、10ラウンド前後をこなす程度にとどめているという。

そして空いた時間はというと、もっぱら家族との時間に充てる。プロゴルファーという職業柄、留守がちな日々の穴を埋めるため、アイドルとして活躍中の長女・愛理さんや、長男の貴之くんのそばに出来るだけ寄り添うようにしているという。

「この歳になって、やっぱり子供は父親と過ごす時間が必要なんだと痛感しているんです。そろそろ息子も思春期に入り、うるさがられることもありますが、そうやって、うるさがられることも大事なのではと思うようになったんですよ」というマイホームパパぶりに、最愛の女性からのご褒美はあったのか!?

「ああ、娘からのチョコですか? いやあ、彼女も忙しくてそれどころじゃないでしょう」と、当日の1週間ほど前は、あえてさばさばとそう話していたが果たして・・・??

写真は昨年の最年長優勝をあげたマイナビABCチャンピオンシップ。5年ぶり8度目の美酒は家族愛に溢れた感動の優勝シーンとなった(左が長男の貴之くん)。