“持ち球”を変える 松山英樹が挑む2018年の変革
◇米国男子◇セントリートーナメントofチャンピオンズ 最終日(7日)◇プランテーションコースatカパルア(ハワイ州)◇7452yd(パー73)
「セントリートーナメントofチャンピオンズ」は、終わってみれば世界のトップクラスが上位に顔をそろえる結果となりました。
8打差の圧勝劇を演じた世界ランク1位のダスティン・ジョンソンをはじめ、今週の世界ランキングで初のトップ3入りを果たしたジョン・ラーム(スペイン)が2位、9位にジョーダン・スピース。そして調子がいまひとつにも関わらず、4位タイに食い込んだ松山英樹選手。今年のPGAツアーも楽しみだなと思わせてくれる顔ぶれがそろいました。
特に2018年こそメジャー制覇を果たしてもらいたい松山選手のプレーは、悪ければ悪いなりに結果を残す、昨年と変わらない“真の強さ”を感じさせる内容でした。そんな中、今年はどの部分に着目すると、観戦がより楽しくなるかを考えてみました。
昨年末に直接インタビューした際、彼はドライバーショットに納得がいかないという発言をしていました。昨季のスタッツを見ると平均飛距離は2015-2016年の294.5yd(65位)から、303.3yd(26位)へと一気に伸ばしています。明らかに進化しているように思えますが、納得のいかない要素が含まれているようなのです。
それは飛距離が伸びた分、ボールが曲がってしまうという悩みです。一見当たり前のように思える悩みですが、単に「方向性を上げたい」というものではなさそうです。
ここ数年は「フェードヒッター」の印象が強かったですが、もともと強いドローボールを武器にしていたため、どちらかというとドローのほうが球筋をイメージしやすいのだと思われます。
松山選手がこれまで賞賛した選手を並べても、それは明らかです。アダム・スコット(オーストラリア)やロリー・マキロイ(北アイルランド)に加え、おととし出場した日本オープン練習日には、兼本貴司選手のショットを参考にしてスイング修正したという事実があります。上記の3名に共通しているのが、ドローを得意とするという点です。
フェードで飛距離を伸ばした分、飛距離を落とさずドローに寄せたい。左寄りに打ち出していたものを、もう少し真っすぐに戻したい。そういう意図が、納得のいかない原因のひとつなのだと感じました。
ただ、“持ち球”を変えるということは、そうたやすいことではなく、大きなリスクも伴います。ドローからフェード、フェードからドローに変えたことで、結果を残せなくなったプロを何人も見てきました。
持ち球を変える――文字で説明してしまうと“微調整”のようなことかもしれませんが、300ydを超えるショットにとって、この変化は我々が想像しているより遥かに難しいことと言えるでしょう。
「スイング改造」という呼び方を好まない松山選手。果たして「スイング修正」でどこまで理想に近づけることができるのでしょうか。私はこの小さいようでとても大きな変革を、2018年最大の見どころに置きたいと思います。(解説・佐藤信人)