市原vs時松 勝敗を分けた最難関ホールの攻防
日本ツアー選手権で初めてメジャーを制した市原弘大選手と、逆転負けを喫した時松隆光選手の勝敗を分けたのは、宍戸ヒルズ最難関ホールの17番の攻防だったように思います。
2016年シーズンから日本ゴルフツアー機構(JGTO)のトーナメント運営委員会に帰属し、コースセッティングに携わるようになりましたが、この宍戸ヒルズを任されたのは今回が初めて。そこで気づいたのが、セッティングに置いてもこの難関ホールは非常に難しいロケーションだということでした。
実はこれまで、外部の立場で試合を観てきて、17番のセッティングが少しもったいないなと感じていました。それはフェアウェイの狭さを強調するために、フェアウェイ横のラフが長すぎて、ティショットが曲がった時点で即ボギー確定という状況になっていたこと。ラフにつかまった後は、2打目をグリーン手前・池の前に刻むしか方法がなかったのです。
私はそこで例年より数mm単位で、フェアウェイ横のラフを短く設定しました。ティショットで曲げたとしても、グリーンを狙うか、池の前に刻むか、選択できる余地を少しだけ作ってあげることにしたのです。そうすることで、ラフからでも果敢にピンを狙う選手たちが生まれることで、新たなドラマを作ってくれることを期待したわけです。
最終日のピン位置は、より難しさを演出するようにグリーン右端、池側ギリギリに切られました。その時点で2位と2打差、トップで迎えた時松選手。彼が放ったティショットは、左ラフに外れてしまいます。それがラフ内の土手にぶつかり、フェアウェイに出てくる幸運に恵まれますが、残り210ydとかなり距離を残してしまいます。彼はそこから果敢に狙い、グリーン左奥へ。そこからファーストパットが逆側のカラーまで打ちすぎてしまったことで、ボギーとなってしまうのです。
一方、ひとつ前の組でプレーしていた市原選手は、この17番をパーで通過。15、16番の連続バーディで作った勢いを途切れさせなかったことが、続く18番の劇的チップインにつながったと思うのです。
私としては、初めて宍戸ヒルズのセッティングを担当させていただき、勉強する部分が多分にあることに気づきました。まだ課題は多くありますが、今回最大の見せ場である最難関ホールを、彼らの勝敗を分けるポイントに置けたことが、大きな収穫になったと感じています。