「数字を残せ…」若林舞衣子に火をつけた師匠の“呪文”
富山県の八尾カントリークラブで開催されている「日医工女子オープン」の2日目、横峯さくらと並び首位タイから出た若林舞衣子が7バーディ、2ボギーの「67」をマークして通算12アンダーの単独首位に抜けだし、2012年4月の「西陣レディスクラシック」以来、ツアー通算3勝目に王手をかけた。
今週は、普段はあまり行わないというボールのラインを、意識的にパッティングのラインに合わせて打っていくことを3日間の課題として挙げた若林。この方法が奏功し、初日の8バーディに続き、2日目も4メートル以上を次々と沈めて、7バーディで頭ひとつ抜け出した。
「数字を残せ・・・数字を残せ・・・数字を残せ・・・」。6月の「サントリーレディスオープン」の際に、師事する岡本綾子から呪文のように唱えられたという言葉。若林はその「数字」が各種スタッツではなく、結果、成績、順位…つまり勝つか負けるかであることを痛いほど認識し、気持ちを一段と奮い立たせている。
今季ここまでフル参戦し、予選落ちは3回。そこまで悪い成績ではないし、ゴルフの調子も決して悪くない。ただ、ショットの状態が上々なのに、優勝争いはおろかトップ10フィニッシュが1度もなく、正直なところ、成績を残せていないもどかしさがあったという。
そんな状況を察したかのように、師匠が繰り返した呪文のような発破。若林は以来、「どうやったら結果を残せるのか、どうしたら勝てるか」と、ひたすらこの言葉の意味を考えてきた。若林本人がそう思い至ったかは不明だが、技術を指導するコーチがそう言ったのであれば、普通は「戦う準備は整った」というお墨付きを得たことになる。
思うような成績が残せない中でも、新たなスポンサー契約(株式会社エージェント/保険代理業など)が加わったタイミングでもあった。師匠の愛情あふれる呪文に対する若林の答えは、単独首位で迎える最終日のプレーで明らかとなるはず。
「緊張はする。その緊張感の中で自分のやるべきことに集中して臨みたい」。練習で積み上げてきたことへの自信と、勝利への渇望感と。今季初の優勝争いへ向け、若林は自分の胸に言い聞かせるように意欲を語った。(富山県富山市/糸井順子)