「復帰するだけじゃない」若林舞衣子が思うママゴルファーVの意義
◇国内女子◇GMOインターネット・レディース サマンサタバサグローバルカップ 最終日(18日)◇イーグルポイントGC (茨城県)◇6657yd(パー72)
出産を経験したプロゴルファーがレギュラーツアーで優勝したのは2007年の木村敏美以来、実に14年ぶりだった。若林舞衣子は10代でツアーの世界に飛び込んだ当時、その大先輩のことを「とてもパワフルな選手で、敏美さんだったら(優勝も)できると感じていた」と仰ぎ見ていたという。
2019年4月に第一子の龍之介くんを出産し、新型コロナウイルス禍で統合シーズンとなった今季(2020年6月)、ツアーに復帰した。3勝をマークしたそれまでのキャリアとは生活は一変。夫や姉の協力があってプロゴルファーとして全国を転戦できるが、試合が終わった日の午後は頭の中は夕飯の献立のことでいっぱいになる。
「もう遅いから(お店の)お惣菜でいいかなあ…と思ったり。私は普通のお母さんよりも保育園や、姉に(子どもを)預けたりできて、恵まれているほう。でも家族のこと、子どものこと、食事のこと(で考えること)が増えたのは大変なことかなと思います」。家族が増えた喜びを得た半面、他の多くの選手とは異なる悩みも抱えている。
今季は横峯さくらもママになって戦いの場に戻ってきた。若林はカムバックするにあたって、後輩に残したい思いがあったという。
「(女子プロゴルファーは)結婚するのに1回悩んで、出産するのに1回悩む。それを私や、さくらさんが頑張ることで『ああ、結婚も出産もしても、しっかりトップで戦えるんだ』と思ってもらいたいと復帰するときに思っていた。ただ復帰するだけでなく、結果を残せるようにと思って準備してきました」
木村の前にはこれまで森口祐子、樋口久子、山岡明美、塩谷育代が出産したママとしてツアーで優勝。6人目になった33歳は「名だたる先輩の中に入れて良かった」と誇らしげだった。(茨城県阿見町/桂川洋一)