「日本オープンだけは獲りたい」片山晋呉が3位浮上
左手のボールを高々と上げて声援に応えた。千葉カントリークラブ梅郷コースで開催中の国内男子メジャー第3戦「日本オープン選手権競技」2日目、片山晋呉が4バーディ、ノーボギーの「66」(パー70)をマークして通算6アンダー。首位のプラヤド・マークセン(タイ)に3打差に迫る3位タイで決勝ラウンド進出を決めた。
2度のスーパーショットはいずれもバンカーからだった。2アンダー9位からティオフした片山は、2連続バーディ直後の前半14番、グリーン右手前から60ydの第3打をAWでピンそば1mにつけた。「今年1番のショット」という自画自賛の一打で最難関ホールをパーで切り抜けると、後半7番で8mのフックラインを読み切ってバーディ。最終9番はフェアウェイバンカーから、残り112ydの2打目をPWでピン奥50cmにつけて4つ目を奪い、拍手喝さい。「プロみたいだね」とおどけてみせた。
廣野GCでの2005年大会を制し、08年大会では古賀GCで史上7人目、永久シード最年少選手誕生となる通算25勝目を飾った。それでも「日本オープンだけは獲りたい。勝っていると余計にそう思う」のが、この試合だ。
歴代優勝者だけが参加できる開幕前夜のチャンピオンズディナーは今年で5回目の開催。青木功、中嶋常幸、尾崎直道らレジェンドの昔話に耳を傾け、身が引き締まったのが2日前のこと。「本当にいい話をしてもらえる。中嶋さんなんか、本気でもう1回勝ちたいって言う。あれほどの人たちが、そこまでの思いで臨む大会で優勝争いをすることは大事。僕ひとりでもそう思って戦いたい」
大会は昨年から、選手のアグレッシブなプレーを許容するためにセッティングは様変わりし、ラフは100mm前後と短くなったが「逆に難しい」という。「頭の中はやっぱり日本オープンだから…スコアが伸びると難しいよね。“行きたい(狙いたい)”けれど…保険をかけたショットも多い。きょうのピン位置なら、狙うと難しいアプローチからのボギーも多くなる」。
この日の後半2番、ラフからの2打目は狙えばグリーン近くまで運べたが、難度の高いショートゲームを強いられるリスクを避け、ピンから97yd地点までレイアップ。3打目をきっちりとピンに絡めてパーを拾ってみせた。甘いワナにはかからない。経験と技術が絶妙にマッチした攻め方を存分に披露し、絶好の位置で予選を通過した。
中盤戦の首、腰の故障は癒えず、右手の指にはいまだしびれが残っている。手負いの体を後押しするのは、3度目のタイトル奪取に向けた熱い思いに他ならない。(千葉県野田市/桂川洋一)