2カ月前の腰痛から生還 片山「ゴルフをやれているだけで十分」
「一昨日は実家でご飯を食べたしね。ホームっていう感じはありますよ」。大利根CCのある茨城県出身の片山晋呉が「アジアパシフィックオープン ダイヤモンドカップ」3日目、3バーディ、1ボギーの「69」で回って通算2アンダーの6位に浮上した。
10番スタートのこの日、同組の石川遼、小田孔明がスコアを落としていく中で、片山だけがリーダーボードを駆け上がっていった。13番(パー3)で2.5mのバーディパットを沈めると、続く14番(パー5)ではピン左5mに2オンしてイーグル逃しの連続バーディ。18番でもバーディを奪い、スコアを落としたのはティショットが木の後ろに入った5番だけ。「ショットは大分良くなってきて、不安はない」と片山。「体の不安だけですね」と続けた。
今年6月に行われた「~全英オープンへの道~ミズノオープン」後、片山は4試合の欠場を余儀なくされた。当初は首回りの頸椎ヘルニアを患っていたが、徐々に痛みは腰へと下りてきて7月20日ごろには自宅の掃除中に倒れて動けなくなったという。
救急車を呼ぼうにも「腰痛だと来てくれない」らしく、知人2人に抱えられて病院へと担ぎ込まれた。その後、いくつかの病院を渡り歩いたものの症状は改善せずに、片山が頼ったのは「ちょっと不思議なところ」だという。気功なのか整体なのか、はたまた念仏か――。片山は言葉を濁したが、「それから少しずつ歩けるようになってきた」というのがほぼ2カ月前のこと。
「今は18ホール回れるし、練習もできる。今はゴルフをやれているだけで十分という感じでやっている。こうやって、優勝争いで記者の前でしゃべること自体幸せです」
飛距離よりも精度が求められるコースセッティングと、林にセパレートされたタイトなホールロケーションは3週間後に迫った日本オープンをも彷彿させる。自身の名を冠したマッチプレーの大会も終わり「あとは秋に何回か優勝争いできたらいいなと思っていた」という片山に早くも到来した優勝のチャンス。ゴルフができる幸せを噛みしめながら、無欲でラスト18ホールに挑む。(茨城県坂東市/今岡涼太)