7位発進の浅地洋佑「QTへ行く気持ちで」
岐阜県のTOSHIN Golf Club Central Courseで開幕した国内男子ツアー「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Central」初日。ソフトなグリーンが各選手のビッグスコアを呼び込み、イーブンパー発進が78位タイというロースコアでの争いで幕を開けた。単独首位は10アンダーの昨年覇者・呉阿順(中国)。そしてツアー初優勝を狙う20歳、浅地洋佑が3度のチップインなどで「65」をマークして7アンダーの7位で滑り出した。
2011年末にプロ転向し、ルーキーイヤーの昨シーズンは11月の「カシオワールドオープン」でシード権をもぎ取った浅地。プロ入り前後の時期こそ“石川遼の後輩”(杉並学院高卒)というフレーズばかりが先行していたが、じっくりと実力を付けながらステップアップを図ってきた。
しかし今シーズン中盤の心境は複雑に揺れ動く時間もあった。昨年までは同じチャレンジツアーでも戦っていた小平智が6月に初優勝。そして同い年のコンビとして注目を集めていた川村昌弘が2週前「アジアパシフィック パナソニックオープン」で勝った。
「一緒にやっていた仲間なので、嬉しかった。本当に『おめでとう』と思えた。僕らみたいにプロに行かず、大学に進んだ選手たちも『オレにもできる』と思えるはず」。その瞬間こそ心から祝福できた。けれど、自分を顧みないはずがない。今季の賞金ランキングは現在79位にとどまっており、焦りの気持ちは当然ある。
ただし、ライバルたちの活躍を“単なる刺激”として、わき目もふらずに邁進することはない。浅地は冷静さを欠いていなかった。「良いスコアを自分に期待しすぎていたところがあった。だからQTに行く、というくらいの気持ちからやり直した」。そう思い立ったのは前週の「コカ・コーラ東海クラシック」のこと。
「三好(カントリー倶楽部)ってもともと、好きなコースなんですよ。でも(開幕から)3日間、全然思うようにいかない。だから最終日からQTに照準を合わせるというか、そのくらいの覚悟を決めてやってみた。そうしたら5アンダー(67)が出て…。アマチュアの時はとにかく“よそ者”で、チャレンジャーとしてやっていた。でもプロになってここが職場になってからは、欲が出てきたんだと思う」。
この日の好スコアも、そんな過剰な欲を取り払って生まれたもの。取り戻した謙虚さは、後半戦へのきっと大きな武器になる。(岐阜県加茂郡富加町/桂川洋一)