脱・罪悪感・・・岩田寛が初優勝へ首位に2差2位
山梨県の富士桜カントリー倶楽部で開催中の国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」3日目。悲願のツアー初勝利を狙う岩田寛が「69」をマークして通算6アンダーとし、首位のプラヤド・マークセン(タイ)に2打差の2位タイにつけた。
1番、3番とバーディを奪い、軽快な滑り出しを見せた岩田は、小雨が落ち始めた中盤に、苦しいプレーを強いられた。5番で5メートルのパーパットを沈めてしのぐと、続く6番(パー5)ではフェアウェイからの第3打がピンの根元を直撃し、グリーン手前まで跳ね返ってしまう不運でバーディならず。すると続く7番(パー3)でティショットを池に入れ、9番は3パットボギーとして、スコアはスタート時の4アンダーに戻ってしまった。
ところが、これまでなら心が折れそうな“踏ん張りどころ”で耐えた。「(9番では自分に)怒りましたよ。怒ったけど、10番でフェアウェイに行って寄せて2パットだったので、落ち着いた。ちょうど雨も止んで普通になりました」。晴れ間ものぞき始めた後半イン。ノーボギーを続けると14番で手前からチップインバーディ。そして最終18番では残り156ヤードの第2打をピンそば4メートルにつけてバーディフィニッシュを決めた。
技術には定評がありながらも、なかなか届かない初優勝。落ち着いた話し方からは想像できないほどの精神面のムラが、敗因の一つであることは自他ともに認めるところだった。2008年の同大会ではプレーオフ負け。だが「正直言うと、スコアが良いと“罪悪感”があった。『あんまり練習していないのに、なんでこんなスコアなんだろう』と」と、これまでの自分を振り返る。
しかしその罪悪感、「今週はそれが無い」と言える。この夏、プロゴルファーの父・光男さんの指導を受け、取り組み方を改めたばかり。「練習量は増えているけれど、まだまだ人並み。(陸上のウサイン・)ボルトとか、吐くまで練習してますから」と言うが、自信も芽生えてきた。また、前週の「VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」でラウンドをともにした湯原信光からのアドバイスで「ミスをしても自分を許すというか、練習が足りないなと思うようになった。前までは『何でオレ、こんなに下手なんだ』と、ずっと思っていた」と精神的な余裕も生まれた。
逆転を狙う最終日。鍵となるのは「運」と言った。「だって、勝ったことがないから分からない」と正直だ。それでも、4年前とは違う姿を見せる準備はできている。(山梨県富士河口湖町/桂川洋一)