賞金王を獲りたい―― 中島啓太の視線はオーガスタとパリへ
◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 事前情報(23日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72)
少なくともシーズンの初めには曖昧だった目標が、中島啓太の頭にはいま鮮明に描かれている。「賞金ランキング1位を目指していけば、マスターズのチャンスも少なからずある」。レースのトップで迎えるシーズンの後半戦。ターゲットに「賞金王戴冠」を加えた。
今月初めの「横浜ミナト チャンピオンシップ」でシーズン2勝目をマーク。最終日翌日も普段通り、栖原弘和トレーナーとジムにこもった。2週のオフは体調を整えながら心身ともにリフレッシュ。クラブについても期間中に4本のウェッジを総入れ替えし、「食いつき、スピン量がかなり良くなった」というテーラーメイドの新作「MG(ミルドグラインド)4」をバッグに入れた(ロフト46、52、56、60度)。「調整がうまくできている」実感がある。
海外進出を志すキャリアの初期段階で、近い将来を見据えると「やっぱりマスターズに出たい」熱意がある。アマチュア時代の2022年に踏んだオーガスタの地。舞い戻るための最短ルートが今、目の前にあるように思えてならない。
「去年、比嘉一貴さんが賞金王を取られて、(推薦出場の)招待状が来た。やっぱり世界ランキング的には可能性が低い。そういう(比嘉のような)活躍をしないと来年のマスターズには出られないと思うので、賞金王を取って招待が来たら幸せです」
昨年8月の制度変更により、米国以外のツアー競技では世界ランクが以前よりも上がりにくくなった。出場権が付与されるトップ50入りが難しい現状で、一縷(いちる)の望みを託せるのがマネーキングの称号。さらに「現時点では日本人で2番目(128位。最上位の松山英樹が37位)。パリのオリンピックもチャンスがあるかもしれない。そこを意識しながら頑張りたい」と、来年の五輪出場も視界にある。
中島にとって初出場となる大会は毎年、場内に選手がチョイスした曲を流してティオフしていくのが恒例。23歳はサンボマスターの『できっこないを やらなくちゃ』を選曲した。♪あきらめないでどんな時も、できると信じて賞金レースを戦い抜く。(福岡県糸島市/桂川洋一)