【リオ現地レポート(1)】五輪ゴルフ会場・バッハ地区はどんなところ?
ブラジル・リオデジャネイロといえば、コパカバーナやイパネマといった有名ビーチに、コルコバードの丘に鎮座する巨大なキリスト像というイメージが浮かぶ方が多いだろう。今年、112年ぶりにオリンピック競技に復帰するゴルフの会場となるオリンピックゴルフコースがあるのは、そんなリオ中心街から西へ約30キロ行ったバッハ地区という場所にある。
この近辺は、透明度の高い南大西洋沿いにホテルやコンドミニアムといった高層ビルが建ち並ぶビーチリゾート。まぶしい白砂のビーチには、極端に布の部分が少ない水着をまとった女性たちや、カイトサーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ若者も多く、ゆったりとした時間が流れている。
現地入りする前に最も不安だったのは治安状況だった。だが、この辺りは「かなり安全なエリア」とされており、実際にビーチを歩いていても変な人に声を掛けられることもなく、危険な雰囲気も感じない。だが、現地の人に聞くと「安全そうに見えるけど、突然変わる」という。特に日が暮れてからの1人歩きは危ないらしい。街中でちょくちょく待機中のパトカーにも遭遇するので、たしかに用心は必要だろう。
オリンピックゴルフコースは、街の南に位置する海岸からラゴアと呼ばれる潟湖(塩湖)を挟んで北側にある。近くには次世代交通システムBRT(バス・ラピッド・トランジット)のオリンピックゴルフ駅があった。日本ではあまりなじみのないBRTだが、道路にバス専用の運行レーンが設置され、料金の支払いはバス車内ではなく駅で行う公共交通システムで、ブラジルでは普及が進んでいる。
バッハ地区の道路はBRTを中心に片側数車線ずつと幅広いため、交通量も多く、スピードを出している車も少なくない。さすがはアイルトン・セナという偉大なF1ドライバーを生んだ国。だが、アジアやアメリカと比較しても全体的には安全運転という印象を受けた。
コースに隣接するエリアでは、新たなコンドミニアムが建設中だった。1フロアに2邸×20階で、それが4棟。プールやスパやテニスコート、バスケットコートという共有施設のほか、パーティ会場や地下駐車場などが完備されるという。住居は270平方メートルから760平方メートルまでのバリエーションで販売価格が160万ドル(1.8億円)~300万ドル(3.4億円)。五輪後の2017年にオープン予定だが、その半分はすでに売約済みだという。
「イパネマなどに比べると価格は3分の1で、良い投資にもなるだろう」と、販売責任者のパウロ氏は誇らしげに語っていた。(詳細はwww.riservagolfolimpico.com.br)
ちなみに、このコンドミニアムはゴルフも売りにしているのだが、オリンピックゴルフコースは五輪開催後にパブリックとして運営されることになっているので、直接的な関係はない。それでも、ブラジルにおけるゴルフはこういった富裕層から徐々に庶民へと浸透していく流れになるのだろう。(編集部・今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka