2014年 WGC HSBCチャンピオンズ

岩田寛の前にひらけた PGAツアーへの2つの道

2014/11/10 10:28
世界の強豪が並んだリーダーボード。岩田は快挙をあと一歩のところで逃した

快挙達成はならなかった。だが価値ある一歩だ。中国シェシャンインターナショナルGCで行われた「WGC HSBCチャンピオンズ」。岩田寛は最終日「72」とスコアを伸ばせず通算10アンダーの3位タイに終わった。最終18番(パー5)で3.5mのバーディパットを外して、優勝したバッバ・ワトソンティム・クラーク(南アフリカ)とのプレーオフには進出できなかったものの、目標の米ツアー進出へ近づいた。

今回の成績は、レギュラーツアーへの早期進出にもつながっている。3位タイに入ったことで、賞金38万1667ドルを獲得。ツアー外メンバーとしての想定フェデックスカップポイントは152ポイントとなった。

10月に開幕したこの2014-15年シーズンで、積算ポイントがランキング125位を上回れば、15-16年シーズンのレギュラーツアーのシード権を獲得(昨年は438点がボーダーライン)。その前に昨季実績の150位相当のポイント(323)を上回れば、スペシャルテンポラリーメンバー(STM)となり、推薦による出場試合数制限が撤廃される。

岩田はこの12月にウェブドットコムツアーの最終予選会を受験する。来季の参戦が決まれば、同下部ツアーのシーズン末の入れ替え戦(ウェブドットコムツアーファイナルズ)で翌シーズンの昇格を狙う道、また今回の成績を活かし、スポット参戦したレギュラーツアーでポイントをさらに重ねてシードを掴む道、2通りのルートで15-16年の出場権を模索することになる。

「そこに行かないと分からないものがある」と、あくまで世界最高峰の舞台を目指す33歳。どちらの道も、もちろんまだ険しいが、2人の「全米オープン」王者、グレーム・マクドウェル(北アイルランド)とマーティン・カイマー(ドイツ)と戦った最終日最終組も、淡々とプレーできた。「一緒に回った2人も変なミスをしてたんで…この人たちも人間なんだなあと思った」。そう肌で感じられただけでも、挑戦には意義があったはずだ。(中国・上海/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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