2014年 ウィンダム選手権

スポーツマンシップ再び? 大会翌週に自己申告で失格

2014/08/17 09:58
大会終了から5日後に、自らの失格を申告したキャメロン・トリンゲール(Stuart Franklin/Getty Images 撮影は全英オープン)

バルハラGCで行われた前週の「全米プロゴルフ選手権」。今季のメジャー最終戦は最終日、日没間際に優勝を手中に収めようとしていたロリー・マキロイ(北アイルランド)に対し、前の組でプレーしていたフィル・ミケルソンリッキー・ファウラーが月曜日への順延を避けるべく、18番ホールでのプレーを急ぐ紳士的な行動が話題となった。それから遅れること5日、再びスポーツマンシップがなんたるかを示すエピソードが生まれた。

米国出身の26歳、キャメロン・トリンゲールが15日(金)、大会を主催する全米プロゴルフ協会(PGA)に対し、「失格」を申し入れた。同選手は最終日、11番(パー3)でボギーとしスコアカードには「4」と記した。しかしその後、思い返してみると、10センチのボギーパットをタップインする直前に、パターを球の上で振ったことがストローク(空振り)として扱われるべきではないかという疑念が膨らんでいったという。

「1ストロークに数えられるべき些細な疑いがあると気づいた」とした同選手は、最終日を「69」とし通算4アンダーの33位タイでフィニッシュしていたが、本来は同ホールがダブルボギーの「5」だったとPGAに申し入れ、過少申告による失格処分を受けた。賞金の5万3000ドル(約540万円)は没収だ。

「ゴルフ規則」では、ストロークについて「球を打って動かすという意思を持って行われたクラブの前方への動き」(第2章54から抜粋)と規定している。実際にどのような状況の10センチパットだったのかは不明だが、第三者が見てただの素振りとして認識されそうな所作でも、トリンゲールが明かした「些細な疑い」に“打つ意思”が含まれていたのであれば空振りとなる。

「PGA、一緒に戦った仲間たちに迷惑をかけて申し訳なく思う」とコメントしたトリンゲールに対し、PGA幹部は「キャメロンが我々に申告してくれたことに感謝する。再び素晴らしい価値とゴルフゲームの伝統、プレーヤーの正直さ、誠実さが組み合わさったものを見せてくれた」と応えた。

トリンゲールはかつて、ファウラーとルームメイトだった間柄だ。

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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