まさかのクラブに落とし“穴” C.ハウエルIIIが失格
ノースカロライナ州のセッジフィールドCCで開催中の米国男子ツアー「ウィンダム選手権」。3日目のスタート直前、チャールズ・ハウエルIIIの名前がリーダーボードから突如消えた。6アンダーの10位タイで決勝ラウンドを迎えたはずだったが、不適合クラブの使用による失格処分を受けた。
問題となったのは2日目に使用していたドライバー。今夏のテーラーメイドの新商品として話題のSLDRは、ネックおよびソール部分にロフト、重心などの調整機能が搭載されているニューモデルで、既に同社契約の多くのプロが実戦で握っている。しかしハウエルは第2ラウンドで、ソール部分のトゥ側にある“カバー”が外れたままプレー。これが「ヘッドを貫通している穴」と見なされ、ゴルフ規則4-1a(付属規則II)に抵触するため、第2ラウンドのスコアが取り消された。
PGAツアーによるUSGA(全米ゴルフ協会)への確認を経て、今回の処分に至ったこの騒動。ハウエルはツアーを通じ「2週間前に替えたばかりだけど、今までで最高のドライバーなんだ。小さなキャップ(カバー)が外れてしまったのは第2ラウンドの練習中だった。スタート前にテーラーメイドのスタッフにキャップが外れても、パフォーマンスに影響が出ないと聞いていたんだ」とコメントした。なにせカバーの重さは1グラム未満。プレー中は気にも留めなかった。
プレーヤーの最高のパフォーマンスをひき出すため、ゴルフメーカーの技術革新意欲は衰えることを知らない。調整機能に始まり、カラーリングの多様化も、デザインの複雑化も、より新しいものが求め続けられている。一方でそこにはルールとのせめぎ合いもあり、こんなトラブルもつきものだ。
勝利のチャンスは失ってしまったが「来週、またこのドライバーで戻ってくるよ」と話したハウエル。同じミスはもうないと信じ、潔く、コースを去った。(ノースカロライナ州グリーンズボロ/桂川洋一)
【参考】ゴルフ規則 付属規則II クラブのデザイン
4 クラブヘッド a 単純な形状
クラブヘッドは概して単純な形状でなければならない。すべての部分は堅牢で、実質的な構成部分であり、機能的でなければならない。クラブヘッドやその部分は他の物体を模倣するようにデザインされてはならない。単純な形状を正確に、包括的に定義することは現実的ではない。しかしながら、この要件に違反するとみなされる特徴、したがって認められない特徴は以下のものを含むが、これに限らない。
(i)すべてのクラブ
●フェースを貫通する穴
●ヘッドを貫通する穴(パターとキャビティーバックアイアンについては若干の例外が認められる。)
<以上、抜粋>
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw