USGAがスロープレー撲滅キャンペーンを開始
2013年の海外メジャー第2戦「全米オープン」開幕前日の12日(水)、大会を主催する全米ゴルフ協会(USGA)が新たなキャンペーンを打ち出した。「While We’re Young」と銘打たれた、スロープレー撲滅の啓蒙運動。近年、プロやアマ、性別、世代にかかわらず問題視されている1ラウンド中のプレーペースの遅延に対する防止呼びかけだ。
今回の運動は、タイガー・ウッズ、アーノルド・パーマー、アニカ・ソレンスタム、ポーラ・クリーマーのほかプロコーチのブッチ・ハーモン、さらにペブルビーチGLの経営者のひとりであるクリント・イーストウッドといった豪華メンバーを旗振り役とした一大プログラム。1980年のゴルフ映画「キャディシャック」をモチーフにした、コメディタッチの映像を作成し、一般アマチュアのゴルファーへと訴える。LPGAやPGAオブ・アメリカの賛同を得ながら、彼らがテレビ放送中のCMに出演するほか、オンラインでのレッスンなどで具体例を示しながら問題解決に役立てるという。
USGAが問題視しているのが、競技時間が近年長くなっていることで一般プレーヤーの“ゴルフ離れ”が進行しているという潮流。 “シリアスゴルファー”の9割が他人のプレーのペースが遅いことで、ストレスを抱えたことがあるというNGF(ナショナル・ゴルフ・ファンデーション)の研究結果を公表し、それが競技人口の減少をもたらす原因のひとつであると位置づけ、今回の施策に踏み切った。
ちなみに上述のキャンペーンのフレーズには、少しばかり補足が必要。「Hit it! While we are young.」という比喩表現で、同伴競技者(あるいは前の組のプレーヤー)に呼びかけるシーンを指す。日本語にすると「僕らが若いうち、年を取る前に打て!=早く打て!」といったところだ。
あす開幕、最も多くの注目が集まるメジャートーナメントから、USGAはスロープレーに対する取り締まりを厳しくしていく構え。パー4、パー5では前の組がグリーン上でのプレーを終えるまでに1組の3選手(もしくは2選手)全員がティショットを終えるよう要請している(昨年までは1組のうち1選手が第1打を終えていれば良かった)。
振り返れば4月の「マスターズ」では、中国の14歳グァン・ティンランが2日目に1ペナルティを受け、予選通過ギリギリのラインでの制裁が話題となった。今季のメジャー第2戦には、果たして似た事例は挙がるだろうか。(ペンシルベニア州アードモア/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw