2011年 全米プロゴルフ選手権

恐怖の最終18番ホール

2011/08/14 12:46
最終18番パー4.クリークを超えた後のグリーン奥にはバンカー。「リスクと報酬」との差がありすぎる?

米ジョージア州アトランタ アスレチッククラブで開催中の「全米プロゴルフ選手権」はメジャー初勝利を狙うブレンダン・スティールジェイソン・ダフナーが通算7アンダーのトップタイに立って最終日に突入する。今季最後のメジャーチャンピオンを決める勝負の行方は、本当に最後の最後までわからない。

最後までわからない、という理由。それは最終18番ホールの難易度にある。左ドッグレッグの507ヤードと長いパー4はティショットからプレッシャーをかけられる。左サイドには池、右サイドにはフェアウェイバンカー。グリーン手前には左の池から続くクリークが流れており、転がして攻めることは許されない。初日、石川遼は第1打と打ち直しの第3打ともに池に打ち込んだ。2日目、3日目はティボックスが前に出され、480ヤード超と短くなったが、ドライバーなら池の上空をターゲットにする選手が多く、かえってティショット落としどころが狭くなったという。

メジャー初優勝を狙う世界ランク1位のルーク・ドナルドはこの日の第3ラウンドで、17番までに4つスコアを伸ばして最終ホールに入ってきたが、ティショットを右のバンカーに入れ、セカンドでフェアウェイにレイアップ。しかし第3打で手前の“クリーク”に落としてダブルボギーとし、トップと通算1アンダーにとどまりトップとは6打差。ジム・フューリックも同じように池につかまり、フェアウェイ上で頭を抱えながら座り込んでしまった。

3日間での平均スコア4.5703は18ホール中、断トツで難易度1位。全選手におけるバーディの数はわずか25、パーは185、ボギー121でダブルボギー以上は53(ちなみに日本の池田勇太は25のバーディのうち2つを奪っているからスゴイ)。バーディとボギー、ダブルボギーが表裏一体で、あまりに“サディスティック”なホールに選手たちからは「素晴らしい」と言う声以上に「打つところが無い」「ありえない。パー5にすべき」という不満が初日から噴出している。

トップから5打差のアダム・スコットは「570ヤードくらいのパー5にしてもいい。500~480ヤードのパー4は本当に厄介だ」。だがそれだけに、終盤の大逆転に勝機を見出している。

トップから12人のうち、過去のメジャーチャンピオンはデビッド・トムズとチャール・シュワルツェルの2人だけ。「ビッグネームが消えつつある」とささやかれる今大会、西日に照らされた最終ホールに、どんなドラマが待っているのか? しかしそれが、どうも悲劇になりそうな気がして…。(米ジョージア州ジョンズクリーク/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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