米女子キャディは売り手市場? 困難を極める“相棒”探し
宮里藍は今シーズンから、8年連れ添ったキャディのミック・シーボーン氏とのコンビを解消し、新キャディとともに戦っている。代わって、バッグを担いでいるのは、過去に米国男子のシニアツアーで飯合肇を担当したこともあるというケビン・フルウェリン氏。宮里は「まだ(開幕戦の)1試合だけだけど、良いキャディだと思います」と第1印象は上々のようだ。
宮里の関係者は、「うちのスタッフがシニアツアーに行って知り合った」と、今回の採用経緯を説明した。米国ツアー8年で9勝のキャリアを誇る宮里をもってしても、有能なキャディを探すことは容易じゃないということ。日本から米ツアーに参入したての選手となれば、言わずもがなだろう。先の関係者も「入りたての人は、キャディ探しは大変だと思いますよ」と話した。
実際、どうしているのだろう? 米ツアー2年目を迎える上原彩子に聞くと、LPGAでは、選手同士による新人サポート制度が体系化されているという。「毎年、LPGAの選手の中で新人たちの世話役みたいな人が選ばれるんです。私は、その人たちにメールをしてキャディさんを紹介してもらいました」。この制度では、「こういう人がいい」などのリクエストも可能だという。
しかし、広い国土のアメリカで、旅から旅へのツアー暮らし。オフは日本に戻る――となると、紹介されたキャディと実際に出会うのは、出場する大会直前となることも少なくない。イメージ通りのキャディと巡り会えればいいけど…。上原もメジャー大会など現地で依頼するコースキャディを除くと、現在の帯同キャディで3人目。選択肢が少ない中で、理想のキャディと出会うことは、やはりなかなか難しいもののようだ。
同じく2年目の有村智恵は、この新人サポート制度を用いずに宮里美香から紹介してもらったのが最初だった。それでも、「うまく行かないこともあった」とこれまでを振り返る。その上で、「それも最初だけだと思う。ツアーに来れば他の選手と情報交換もできるし、前のキャディが紹介してくれることもある。試合を重ねていけば、そこは日本と同じですよ」と、徐々に環境に慣れつつあるようだ。
上原は昨年8月の「全英リコー女子オープン」から今週まで同じ男性キャディを起用し続けている。シーズンをまたいでタッグを組んでいるが、「何があるか分からないので・・・」と数試合単位で契約をし、キャディのフルネームも「わからない…」という現状だ。プロゴルファーにとって、真の相棒探しも重要な仕事の1つ。苦労がうかがえた。(タイ・チョンブリ/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。