2013年 ザ・エビアン選手権

宮里美香、惨敗に涙「悔しいより、歯がゆい」

2013/09/16 08:29
メジャー優勝者と最終日最終組をともにできた経験も、今後の糧となるはず

祝福のシャンパンが香る18番グリーン上で、歓喜に浸る同組のスーザン・ペターセンを笑顔で見つめていた宮里美香。しかし、アテストを終えるとトイレへ駆け込んで人目を逃れ、数分後に取材陣の前に姿を現したあとも、溢れ出る涙を抑えられなかった。懸命に作ろうとした泣き笑いの表情が痛々しい。

「悔しいというのもそうだけど、自分の中で歯がゆい。2日間、良いゴルフをしてこの結果だったから」。海外メジャー「ザ・エビアン選手権」最終ラウンド、それまで2日間単独首位を守りながら、「79」を叩いて“惨敗”した。同じ最終組では16歳アマのリディア・コーも最後まで優勝争いを演じ、途中からテレビの国際映像は同組3人のうち美香のプレーだけカットして放映していた。

「今日は全体的にショットが右に行きがちだった」と、生命線であるショットが安定しなかったことを敗因に挙げる。スタートホールの1番から予兆はあった。フェアウェイからの2打目を右に曲げ、3オン2パットのボギー発進で、いきなり首位の座から陥落した。さらに、課題に挙げているパー5で痛恨のミス。7番の3打目、右ラフから残り110ヤードのショットは右に飛び出し、グリーン右の傾斜を転がり落ちるトラブル。アプローチミスも重なって6オン2パットのトリプルボギーとし、優勝戦線から完全に脱落した。

今シーズン序盤に、目標に掲げていたメジャー初制覇はついに叶わなかった。しかし、メジャーの最終日最終組は、2010年「LPGAチャンピオンシップ」、2012年「全英リコー女子オープン」に続いて今回で3回目。メジャータイトルが現実感を伴う目標となっていることは間違いない。

今年8月のメジャー第4戦「全英リコー女子オープン」で優勝争いに加わった佐伯三貴は、“日本人はメジャーに近づいている”と口にした。1977年に樋口久子が「全米女子プロゴルフ選手権」を制して以来、永く待たれている2人目の達成者が現れるのはいつか。「近づいていると思う。いや、近づかなくてはいけないですよね」。涙に濡れていた美香の目は、もうすっかり乾いていた。(フランス・エビアン/塚田達也)

■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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