メジャー5勝目を挙げたヤニ・ツェンの貫禄
世界ランク1位のヤニ・ツェンと、無名のカロリン・マソンの最終組対決。1時間40分前にスタートした上田桃子や、50分前にスタートした宮里美香も気になったが、とにかく最初の数ホールだけでも見てみようと、心を決めた。
1番、ティショットがやや右サイドに流されたマソンだが、なんとか2オンに成功して2パットのパー。一方のヤニはフェアウェイからマソンの内側につけるも、1mのパーパットがカップに蹴られてボギーとする。マソンは15アンダーで、ヤニは1つ落として12アンダー。
続く2番はティショットを左ラフに入れたマソンが、なんとか2オンには成功したものの、20メートル近いファーストパットを大きくショートしてしまい3パットのボギー。パーのヤニとは再び2打差に縮まった。
迎えた3番。320ヤードと距離の短いパー4だが、その分グリーン手前1ヤードのところにクリークが流れ、グリーン自体も大きくうねって難しい。この日のピン位置は手前から14ヤード。最初に打ったヤニのショットは、このクリークとピンの間にきっちりと落として、スピンを効かせてピンそば30センチにぴたりと止める、鋭いカミソリのような切れ味。続いて打ったマソンは、攻めきれずにピンをオーバーし、グリーン奥までこぼしてしまった。
このホールのバーディ/ボギーで首位に並んだ2人だが、残り15ホールの顛末はこのときおおかた予見できた通りだった。
ホールアウト後、ヤニは同組で回ったマソンについて触れ、「私もたくさん負けたし、たくさんのミスから学んできた」と、初めてメジャー大会で最終組を回った彼女を温かくねぎらった。
この優勝でメジャー通算5勝目を挙げたヤニ。米女子ツアーのメジャー優勝回数は、パティ・バーグの15勝が最多で、アニカ・ソレンスタムは10勝。現役選手では、ジュリー・インクスターとカリー・ウェブがそれぞれ7勝ずつを挙げている。2013年にはメジャー大会が5試合に増えることを考えると、22歳のヤニが偉大な先人たちの記録を超えていくのは、もはや時間の問題に思えてくる。(スコットランド・カーヌスティ/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka