国内女子ツアー究極?の最終日を前に
今週の「大王製紙エリエールレディスオープン」は、隆盛を極める国内女子ツアーの魅力を凝縮したかのような展開となった。大詰めを迎えた賞金女王争い、賞金ランク上位50人をめぐる来季シード権争い、さらには同25位以上に与えられる次週の最終戦「リコーカップ」出場権争いが演じられ、いずれ劣らぬ熱い注目の中で最終日を迎える。
女王争いでは、トップの横峯さくらを1,169万円差の2位で追う森田理香子が単独首位に浮上。シード争いでは55位からの逆転シードを狙う上田桃子が単独2位の好位置。リコー争いでは、ツアー最多タイに並ぶ17年連続出場を狙う不動裕理が3位タイ。5位タイには優勝すると賞金女王が決まる可能性もある横峯がつけている。揃いもそろった“主役級”が優勝争いに絡んで、試合がどう転んでも色とりどりのストーリーが溢れ出しそうだ。
この連鎖的な盛り上がりも、名前と顔、キャラクターがしっかりとお茶の間にまで浸透していればこそ。次々と現れる新世代の台頭、現在の女子ゴルフ人気の礎を築いた中堅、そして今も変わらず彼女たちを脅かすベテランたちといった世代的なバリエーションも、ゴルフファンに限らないスポーツファンに、さまざまな見方を成立させる魅惑的な要素といえるだろう。
他のツアーに目を向けるとどうだろう。国内男子ツアーは、確かに石川遼と松山英樹という逸材が登場し、石川は2009年に賞金王、松山も今季賞金王へのカウントダウンが始まっている。しかし、実績や話題性の上で2人と台頭に渡り合える人材といえば、なかなか頭に思い浮かばない。ツアー最高峰を謳う国内メジャーも、2人が不在だと閑古鳥が鳴いてしまうのが実状だ。
今季の米国女子ツアーも、宮里藍、宮里美香、上田、さらにツアールーキーとして有村智恵と上原彩子の5人がフルシーズンを迎えたが、いずれも日本勢は未勝利のまま今週の最終戦を迎えている。確かにフィールドのレベルや賞金は高いのかもしれないが、やはり話題性を求める意味では選手の“活躍”は欠かせない。そもそも試合数自体は国内よりも少なく、地元の米国でも男子、シニアに次ぐ人気とされる“最高峰”の舞台ではある。
世界のメジャーで勝てない国内女子のレベル云々をいう人もいるだろう。また、国内女子の人気の背景をスポンサー企業の接待目的のプロアマに求める話も他ツアーの会場ではよく聞く。もちろん偶然かもしれないが、今週の展開を見てもその論は成立するだろうか? プロスポーツとして、国内女子ツアーが秘めたパワーを改めてひしひしと感じている。(愛媛県松山市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。