2年前の借りを返す!服部真夕が2日間ノーボギー
千葉県で開催された国内女子ツアー「樋口久子 森永製菓ウイダーレディス2013」の2日目は、朝から気温が上がらず選手たちは寒さをこらえてラウンドとなった。午後からは追い打ちをかける冷たい雨も降る中、3アンダーの8位から出た服部真夕は「68」で回り、首位と1打差の通算7アンダー2位タイに浮上してきた。
初日に3バーディを奪い、この日は4バーディ。この日は決して無難な内容ではなかっただけに、2日間ノーボギーのプレーで会見場に現れ、「満足です」と話した服部の実感は、記者にもひしひしと伝わってきた。
この日は5番、6番と2ホール続くパー5でバーディを奪って滑り出したが、次の7番でピンチに陥った。ティショットを左にひっかけ、次の2打目は見えないグリーン上のピンを狙って、ドロー気味の弾道で攻めたいところ。5番アイアンを一閃した服部のボールは、グリーンの左方向へ飛び、ギャラリーの反応でOBの可能性も否定できなかった。
OBなら4打目となるはずの暫定球を打ったが、2打目よりもさらに左に飛び、こちらは完全にアウト。次は6打目の計算の…と途方に暮れかけたところで、グリーン方向から2打目のセーフが知らされた。ボールは、カート道よりも外側で斜面に入ったところにあり、3打目でピン方向が狙えず、テークバックもひざの高さより上げられない、これはこれでピンチな状況に残っていた。
「OBじゃなかっただけラッキーだし、少しでも前に行ってくれればいい」と52度のウェッジで放った3打目は、ピンまで10メートルの花道に出すのが精いっぱい。「ボギーは覚悟していました」と振り返ったが、パターで狙った4打目はピンに当たってそのままカップイン。あわや大たたきと肝を冷やしたホールをミラクルパーセーブで切り抜けた。
一瞬とはいえ大たたきを覚悟した時、服部の脳裏によみがえったのは、このコースの”練習場の光景”だったかもしれない。
思い起こすのは2年前、初日に4アンダー「68」をマークして首位タイに立ったが、2日目は「81」の大たたきとなり、首位から予選落ちというツアー史上6人目の珍記録を作った。悔しさをこらえきれず、目を赤くして報道陣に囲まれた服部は、その後、日が暮れるまで練習を行うと、自分の名が出場選手欄から消えた翌朝も会場の練習場に現れ、決勝進出者たちが巻き起こす歓声を聞きながら、黙々と練習を続けた。
「ここにくると、あのことを思い出すんです。もちろん自分自身忘れることはないですけど、主催の森永製菓の方々からも”最終日の練習”について言われるんです。なんか恥ずかしいですよね。強烈に印象に残ることをしてしまったと反省しています」。
顔を赤らめて当時を振り返る服部は、「苦い思い出なので、良い思い出でかき消したいですね」と、優勝を果たすことで、気遣ってくれる周囲の表情を笑顔に変えるつもりだ。
そもそも今大会は、別会場で行われた2008年に、服部がツアー初優勝を果たした思い出深い大会でもある。最終日最終組で、5年ぶりの栄冠をつかみ、きっちりと借りを返すつもりだ。(千葉県市原市/本橋英治)