涙のアン、苦難を乗り越えての通算10勝目
「ニトリレディスゴルフトーナメント」で節目となるツアー通算10勝目を飾り、アン・ソンジュは同郷の先輩であるカン・スーヨンの肩で泣いた。
5月初旬の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」から約4ヶ月。65試合目での通算10勝目達成は、88年のツアー制度施行後では宮里藍の47試合に次ぐ2番目のスピード記録。しかし、アンにとっての今季2勝目は、とても長い時に感じたことだろう。その気持ちが、18番グリーン上での涙となった。
故障を抱えていた左手首の痛みがピークに達した「スタンレーレディス」では、国内ツアーで初めての途中棄権。「ウエッジで打った時でも痛かった。アイアンやドライバーで、フルスイングができなかった」。今では痛みは消えているというが、「完全には直らない」とアン。今も、左手首には痛々しいテーピングが巻かれている。「その中で優勝できて、嬉しかったです」と、心からの笑顔を浮かべた。
それ以前も「アース・モンダミンカップ」、さらに棄権後の初めての試合となった「meijiカップ」と、いずれも首位で最終日を迎えながら優勝を逃し続けていた。女王らしからぬ失速。「気持ちで負けていたところがあったと思う。“優勝できるかな?”と、自信が無かった」。その悩みも、今週の勝利がすべて忘れさせてくれるだろう。「今日は、自分自身に負けないプレーができました。このあとの大きな試合も、自信を持ってできると思います」。
「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」、「日本女子オープン」と、メジャー2試合が組まれている来月。失いかけていた自信というピースを取り戻し、最高の弾みをつけて9月決戦を迎える。(北海道苫小牧市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。