ツアー初勝利!“愛璃”の名に込められた想い
斉藤愛璃、三塚優子、李知姫の三つ巴のプレーオフにもつれ込んだ「ダイキンオーキッドレディス」最終日。昨年プロテストに合格したばかりの斉藤が、実績ではるか上をゆく2人を破りツアー初勝利を手に。昨夜、きゅうきょ沖縄入りした父・壮士(たけし)さんは「信じられません。昨日のスコアでも信じられなかったのに・・・」と、夢心地の表情だった。
壮士さんと、母・みゆきさんの前で勝利し、斉藤は優勝会見で両親へ感謝の言葉を綴った。「すごく嬉しい。ひとりっ子の私に長い間ゴルフをさせてもらって、今まで本当に支えられてここまで来たんだな、と実感しました。金銭的にもたくさんかかってきたし、今日少しでも恩返しできたらと思ってプレーしていました」。
斉藤が8歳のころ、壮士さんが練習場でボールを打っているのを見て「やりたい」と関心を持ったのが始まり。中学生になり、斉藤にプロゴルファーへの意識が芽生えると、自宅に練習ができる施設を整え、照明器具も設置。「(斉藤がゴルフを)やめるまで応援しよう」。金銭的な負担を減らすため、みゆきさんはパート勤めから正社員となり、会社勤めの壮士さんと共にプロを志す1人娘のサポートを続けた。
「みなさんに宝物のように愛してもらえるように」と、2人で考え合った『愛璃』という名前。壮士さんが考案した“あいり”という読みに、みゆきさんが漢字を当てはめた。今週、日を追うごとに数を増していった、斉藤の応援に続く大ギャラリー。そして、大歓声。「ギャラリーの方が多くてビックリしたけど、私はたくさんいてくれた方が好き。今日は楽しくラウンドができました」。声援を送るたくさんのファンに包まれた斉藤は、両親の目には宝物のように輝いて映ったことだろう。娘の未来に想いを巡らせ、名づけたそのままの姿がそこにあった。(沖縄県南城市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。