中止になった日韓戦とその意義
地球規模でグローバルになり、日本選手が世界各地で活躍することの多くなったゴルフ界。世界ランク1位のルーク・ドナルドが米国と欧州の2大ツアーでの賞金王に近づいている事実も、そんな時代の流れを象徴しているようだ。
そんなゴルフ界だが、我々日本人(特に僕個人)が寂しい想いをせざるを得ない大会がある。それは多分、現在のゴルフ界で一番盛り上がる大会と言えるであろうライダー・カップだ。ご存じ、2年に1度開催される米国対欧州選抜のチーム対抗戦で、残念ながら日本人の出る幕は、まったく無い。
女子では、今年開催されたソルハイムカップというのがそれにあたる。日本での報道は小さく、その熱を感じる機会は少ないかもしれないが、米国や欧州選手のコメントの端々にその代表メンバーに入ることが目標だという言葉をよく聞くし、実際それを大きなモチベーションとしている選手は多い。
先週、今年の日韓対抗戦が中止になったというニュースが飛び込んできた。タイの洪水被害の影響で致し方ないことだが、日本人にとっては貴重な国を背負ったチーム戦。2年続けて中止となったことは残念でならない。それに、対する韓国と比べてこの試合に対する熱意が弱く感じられるのも、心もとない。
申智愛は言う。「歴史的なことはあるけれど、あの試合はフェスティバルのようなもの。アメリカ、日本、韓国でそれぞれ4人ずつ位しかメンバーに入れないし、メンバーに入るというのは世界で通用する選手だという証明になる。国を背負って戦うのは大きな意味がありますね。それに日本人選手と交流して、ガールズトークができたりするのも楽しみです」。
毎年、韓国の熱気に押され気味の日本代表は、08年から参加を義務づけ、違反者には罰金を科すようになった。それが問題の解決になるのかは微妙だが・・・。
「日本代表として選ばれることを誇りに思うし、選ばれる位置で戦って国を背負ってプレーしたいという気持ちはあります。チームプレーなので、本当は出たい人が集まって出る方が盛り上がると思いますけど」と上原彩子。長いシーズンを終え、ゴルフ場以外での仕事も抱える人気選手が、日韓戦にプライオリティを感じられないというのが一つの実情だ。
そもそも、タイで開催されるということに違和感を持った人も多いはずだ。時期的に韓国開催は難しく、第三国でいうことになったそうだが、本当は当事国が盛り上げていかないといけないものだろう。今年の開催中止がさらりとしたニュースで終わらないことを願いたい。(三重県志摩市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka