「今の自分につながっている」宮里藍さんがコロナ禍でも貫く育成
元世界ランキング1位の宮里藍さんが24日に兵庫・六甲国際GCで行った「SUNTORY presents 宮里藍 スペシャル ジュニアゴルファーレッスン」。12人の女子中高生への指導は、次代を担う若きゴルファーへの熱いエールでもあった。
ドライビングレンジで2人1組になると、宮里さんは「8Iで100yd」など、お互いに課題を与えて打つように指示。「いろんなクラブでいろんな距離を打つと、自分の距離感をつかむのにもつながる」と練習の意図を説明した。2ホールラウンドも行い、ティショット、フェアウェイ、グリーン上と一打ずつ悩みに耳を傾けた。
宮里さんや畑岡奈紗が憧れという兵庫県西宮市の塩瀬中3年の山田胡花(やまだ・こはる)さんは「憧れの人と回ることができて、貴重な経験だった。今後にいかせる課題がたくさん見つかった」と笑顔を見せた。
宮里さんの所属先であるサントリーが主催する「宮里藍サントリーレディス」は今年6月に記念すべき第30回大会の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止を余儀なくされた。
同社の牧野清克・宣伝部長は「中止した段階でこのイベントをやると決めていた。ジュニアの大会もコロナでたくさん中止になったと聞いていたし、『サントリーレディス』は次世代につながる世界に羽ばたくジュニアゴルファーを育成する大会」と開催の意義を説明した。
育成強化の方針は着実に成果をあげてきた。笹生優花はアマチュアだった13歳(2015年)から同大会に5年連続で出場し、プロの技を自らの血肉にしてきた。ルーキーとして臨んだ2020年は2勝を挙げて賞金ランキングトップを走る。
宮里さん自身は、中学3年生のときにこの大会に初出場。「ステップアップして今の自分につながっていると思っている。プロの試合に挑戦できるジュニアの選手が増えてほしい」と期待を膨らませる。
2010年大会のジュニア向けスナッグゴルフに、当時10歳で出場して優勝した同社所属の渋野日向子は「ゴルフを通して人生には欠かせない大切な要素を学び、大きな夢、希望を持って、素晴らしいゴルファーへと育ってもらいたい」とメッセージを寄せた。
コロナ禍で経済が深刻な影響を受けているが、2021年の国内女子ツアーは37試合を予定し、賞金総額は史上最高の41億4000万円と盛り上がりを見せている。ジュニア育成が宮里さんや渋野のように世界で活躍できる選手の登場につながり、ゴルフ人気を支えてきたのは間違いない。(編集部・玉木充)
■ 玉木充(たまきみつる) プロフィール
1980年大阪生まれ。スポーツ紙で野球、サッカー、大相撲、ボクシングなどを取材し、2017年GDO入社。主に国内女子ツアーを担当。得意クラブはパター。コースで動物を見つけるのが楽しみ。